衆議院議員 渡辺 具能(福岡県第4区)
プロフィール
1941年須恵町生れ。福岡高校を経て64年に九州大学工学部を卒業後運輸省に入省。1996年、衆議院に初当選。以来連続4回当選。現在、衆議院内閣委員長、自民党文教制度調査会事務局長。
進む博多港の機能強化
東アジア、とりわけ釜山や上海など巨大港湾の整備が進む中、博多港も機能強化が図られています。物流に関しては、アイランドシティC2バースが供用開始になり機能がアップしました。博多港の国際コンテナ取扱個数は現在日本で6位ですが、東アジアにおける物流拠点港として非常に重要な港になっていきます。
一方、福岡市を訪れる外国からの観光客の4割は船を利用されていますし、外国航路乗降人員数は15年連続日本一です。博多港がそれだけ東南アジアに近いという証明でもあります。博多港は、「物」「人」ともアジアの拠点港としての役割をもっているのです。
急がれるふ頭の整備
これだけ多くの外国人が訪れているのに、例えば中央ふ頭の博多港国際ターミナルは韓国からの観光客を迎える玄関口にしては立派とは言えません。近代的な旅客ターミナルへと造りかえる必要があるでしょう。韓国から多くの観光客が見えていますが、2011年には九州新幹線が鹿児島まで全線開通します。同時に韓国ではKTX(高速鉄道)が開通します(一部開通)。韓国KTX-船―九州新幹線をつなぐ連続切符などができたら、観光客は飛躍的に伸びていきます。まさに福岡は韓国人があふれるぐらいの街になります。その玄関口は大至急で整備に取り組まねばなりません。
これからは港を中心とする道路体系をきちんとしなければなりません。そのためにはアイランドシティの橋梁整備が必要です。そうすることで東側の交通緩和と物流が促進されます。
日本の最大の貿易相手国は、アメリカを抜いて中国です。今後さらに倍加していきます。それへ対応を考えると「ポスト・ポートアイランド」という問題が出てきます。
大博多港に向けた構想
アジアはこれからすごいスピードで発展していきます。水深14~15mでは対応できない事態が出てくるでしょう。しかも東南アジアでクローズする物流が増大し、パナマ運河の制約から解放されますから、大型化は急速に進みます。アジアのゲートウェイたる博多港が、どうあらねばならないのか、新たな要請が生まれてきます。
博多湾は良港で、埋立には適していますが、大水深には不向きです。地理的状況を考えると、能古島の島影周辺に大水深の高規格コンテナふ頭群を造ったらどうか、と思っています。あの辺りは外海にも近く水深18m位のバースが3~4個は可能で、島影だから格安です。博多港が神戸・大阪に替わる東南アジアへのリーディングポート・ハブ港湾になり、博多港から神戸港や大阪港に2次輸送する時代がきます。アジアへのゲートウェイとは、そういうことです。港湾は20~30年後を考えて、国家戦略として考えていくべきです。国家戦略としての港湾という観点で見ればいまの港湾整備のありかたはいろいろ問題があります。博多港は地方がオーナーで空港のオーナーは国というのも考えてみれば不思議です。港湾のパラダイムをドラスチックに考え直すときがきていると思います。港湾は国家戦略であり、港湾行政も転換が必要です。
(構成:編集部)
※記事へのご意見はこちら