福岡市議会議員 津田たかし氏
博多港は労使関係が良好
東アジアでは現在、巨大港湾の整備が着々と進む一方、日本では小さな国土の中で地方港同士が競争し合っています。今、アイランドシティ「まちづくりエリア」では新産業集積拠点や環境に配慮した住宅の整備を、「みなとづくりエリア」では大型コンテナ船の入港が可能な岸壁やヤードの整備が進み、新青果市場の移転計画も5年後の2014年度に開場予定ということで進んでいます。アジアの時代、地方の時代といわれる昨今、博多港は地政学上も日本の中で最もアジアに近い優位性を活かして戦略的に博多港の港湾機能の強化を図る必要があります。そのためには博多港で働く皆さんの協力が不可欠で、博多港では“官民労が一致協力して”という表現がよく使わるように、港湾労働組合の中に「自分たちの港を自分たちでつくる」という意識があるため、労使関係がとてもうまくいっています。そのことが他港にはない、博多港の高いサービスにつながっている点で、強みだといえます。
地域に大きな波及効果
博多港の経済活動が福岡市の経済、雇用、税収に占める経済効果は、福岡市内総生産の4分の1以上にのぼります。それだけ博多港による地域への波及効果が大きく、港に関わる仕事をする人も増えています。博多港はその昔「那の津」と呼ばれた時代から大陸との交流が活発に行なわれ、埋め立てなど海を活用しながら九州を代表する港にまで成長しました。桑原市長時代、須崎・中央・博多ふ頭の再整備計画は臨海部・都心ウォーターフロントに新たに情報機能・コンベンション機能を付加していこうと計画されました。現在、中央ふ頭にある博多港国際ターミナルは年間84.5万人もの乗降客があり、港湾では15年以上日本一ですが、その割には小さ過ぎます。隣接するマリンメッセや国際会議場などのコンベンションゾーンも今ある施設を利活用しつつ博多港全体の発展を見据えた効果的な整備を行なうべきです。ゆくゆくは須崎ふ頭への旅客ゾーンの移転など中央ふ頭から須崎ふ頭にかけて新たな福岡市・博多港の顔となるような再生が必要だと考えます。
上海と釜山との連携も
博多港の今後については背後地の顧客をしっかりとつかまえ、欧米などへの基幹航路を引き続き維持しながら上海と釜山との連携を深めていくことが肝要です。そのためには港湾使用料などを行政が一部負担して引き下げることも考えていく必要があります。そうしなければ、国際競争に勝てません。そしてフィーダー船やRORO船、高速フェリーなど多様な輸送手段を選択できる特色のあるマルチな港になるべきです。また2011年には九州新幹線鹿児島ルートが全線開通し、観光面でも博多港の需要のさらなる高まりが予想されます。大型クルーズ船の誘致や釜山旅客航路を軸に一層の航路の維持・拡大を図っていくべきでしょう。福岡市は今年、市制施行120周年、博多港開港110周年、広州市とは姉妹・友好都市締結30周年、釜山市、マレーシアのイポー市とは20周年の節目の年です。博多港は福岡市の発展に欠かせない活力の源です。発展著しいアジアとの交流の窓口として、名前の由来になったともいわれる物や人を「博(ひろ)く、多(おお)く」集める物流・国際交流拠点としてさらなる発展を続けることを期待します。
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