群れの論理は通用しない
2009年2月、『地方を殺すのは誰かー立ち上がれ、圧制に苦しむ地方の経営者よ!』を著した岩崎産業代表の岩崎芳太郎氏。強烈な本のタイトルの裏側には、中央に対する批判のみならず、声を上げない地方経営者に対する檄の意味も込められているようだ。そんな岩崎氏の想いを存分に語っていただいた。
所在地:鹿児島市山下町9-5
創 業:1923年5月
設 立:1940年4月
資本金:39億円(グループ全体)
年 商:(08年度)約530億円 (グループ全体)
―結局は財務内容の良し悪しだけではなく、個人レベルで能力を高めていく必要があるということですね。
岩崎 群れの論理に加え、大きな組織にいれば安泰という時代は終わりました。昔はスケールメリットがあり、拡大イコール質的向上という部分もあったかもしれませんが、今は拡大イコール質的劣化です。しかも、規模を維持しながら質的向上があるかと言えば、これはあり得ません。
種の保存という意味では、群れることで安全が保障されるかもしれません。しかし逆に、速く走る能力、戦う能力、判断能力を落としたならば、実は食われるリスクが大きくなる可能性があります。しかも、個々のシマウマが己の安全保障を群れからはぐれないことだけにポイントをおいてビヘイブしていると、相対比較論でしか自己改革をしなくなります。これが今の地方の民間人の姿です。
―典型的なシマウマが地方の民間ということですね。
岩崎 たとえそうだとしても、1人でチーターよりも速く、ライオンよりも強くならなければならない。逆にそういうシマウマが群れをなしていたら、ライオンも襲ってこないでしょう。要するに、従来通り長いものに巻かれたり、分配論理に頼ったりしていてはダメだということです。
すでに、民営化によりシマウマ(地方の民間)がライオン(巨大金融資本)にかなり食われています。そのうえ、動物園で管理されている貪欲なライオンを野に放した方が生態系を守れるなんて、バカなことを言っている連中もまだいます。
~つづく~
【大根田康介】
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