ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

コダマの核心

請負サラバで生きる
コダマの核心
2009年5月11日 12:01

激変してこそ企業寿命を延ばすシリーズ

<技術単価は市場価格で決まる>
 大工さんがいなければ家が建たない。これは道理だ。ところが役割は認められているものの、大工さんの技術力が充分に対価に跳ね返っているかというと、現実はそう甘くない。「家族で食っていけるために、最低で日給2.5万円いる」と要求しても筋が通らない。「いやー、お客さんから貰う単価から判断しても1.5万円しか払えないよ」と言われるのが落ちだ。個人レベルで職人の腕の対価が下落している。個人レベルで過酷なら、請負業の会社(職人・技術者を集めている)はさらに悲惨だ。
 電気工事業会社でも、40歳の現場監督に年収400万円やるのが精一杯だそうだ。「これでは現場監督の息子さんは大学にもやれませんね」と経営者に意地悪な質問をした。「情けないがその通りです。社員たちには明るい将来を保証できません」とうなだれる。
 これ以上責めても酷だ。昔は「手に職を持ったら食べられる」と言ったが、今の世は厳しい。「技術集団の会社は報われる」というのも、現実は虚談だ。要は単なる強いられるがままの請負では、会社も職人・技術者も干されてしまうのが当世の流れなのである。

<提案営業に悪戦苦闘>
 筆者の親しい友人・井尻は、以前から事業転換を模索してきた。7年前に方向転換の大綱を指示した。「君のところは請負一本で親父の代からゆっくりと飯を食えてきた。職人を抱え『これだけ仕事したから会社と職人にこれだけの金がいる。だからこれだけ頂きたい』という請負根性で通用してきたが、今後は世間が許さないようになるよ。請負意識を捨てて、ユーザーダイレクトの提案をしなければ報われる利益は得られない」と警告を発していた。
 当時から井尻はこの警告を充分に理解していた。先行きに危機感を抱いていたからだ。さすが経営者としての卓越したリスクヘッジの能力を有している。彼の会社は受注面で恵まれていた。官公庁の仕事と大手の企業一社から仕事を潤沢に、かつ定期的に貰っていたので、率直にいえば儲かっていたのだ。お客に頭を下げる必要もなかった。時代は激変し官需の単価は劣悪になったし、民間の唯一のお得意先も厳しい処置を繰り返し始めた。
 井尻は「下請けで仕事をしていても、会社は必ず成り立たなくなる。また社員、職人には充分な給料も支給不可能になるな」と確信した。「事業転換のキーワードは提案セールスだ。しかし、この転換は社内に革命を起こすほどの難題であり挑戦だ。社員たちの意識までも総入れ替えが問われている」と先行きのしんどさも理解した。財務的にも余裕があったから、決断して以降の行動は速かった。
 方向転換といっても、井尻の会社に蓄積された技術力が応用できる範疇のビジネスである。新分野の基本は時代にマッチしたものだ。一口で言えばニューエネルギーを活用したプロジェクト事業であり、その基幹部門において彼の会社の技術力が生かされるのである。ただ、以前のように待っていて仕事はやってこない。井尻のほうからユーザー側に提案をドシドシやらなければならない。8月に着工する案件には20回、提案修正を余儀なくされた。お陰で3億円の仕事の確保に目処がついた。「コダマさんから強いられた『請負業では淘汰される』という意味がよーくわかった」と井尻が感謝してくれたことで、肩の荷が軽くなった気分でいる。(登場者・仮名)


※記事へのご意見はこちら

コダマの核心一覧
コダマの核心
2012年12月16日 19:32
コダマの核心
2012年12月 7日 17:48
コダマの核心
2012年12月 5日 11:25
コダマの核心
2012年12月 4日 16:34
「自爆民主党解散」シリーズ
2012年11月16日 09:40
コダマの核心
2012年11月 8日 10:13
コダマの核心
2012年10月30日 11:00
コダマの核心
2012年10月16日 07:00
コダマの核心
2012年10月15日 13:35
日本国家"根源的変革"の処方箋シリーズ
2012年10月14日 07:00
コダマの核心
2012年10月11日 10:27
コダマの核心
2012年10月10日 11:06
コダマの核心
2012年10月 5日 10:11
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル