博多港開発(株) 代表取締役社長 酒井 勇三郎氏
福岡市の都市力がまだ、脆弱だった約50年前、行政だけでは困難な港湾整備に民間の力を活用しようと福岡初の第3セクター、全国的にも先駆けとなる株式会社方式の港湾整備会社として設立。以後、博多港開発(株)は須崎ふ頭の埋立事業を皮切りに、港湾整備事業を通じて福岡の都市力アップに貢献してきた。その港湾開発事業のこれまでと現状、さらに今後の課題を踏まえ、同社が果たしてきた役割、今後に期待されることなどについて、酒井勇三郎社長に語っていただいた。
着々と進むIC整備事業
――須崎ふ頭のほかに、福岡の発展に貢献してきた事業として挙げられるものは?
酒井 博多港最大のふ頭である箱崎ふ頭やガスエネルギーや都市づくりのためのセメント、砂などの集積地としての東浜ふ頭の整備もきっちりとしました。また、現在、石油タンク基地になっている荒津地区を整備したことで、福岡都市圏へのエネルギー供給の流れがとてもスムーズになりました。その結果、福岡のガソリンの価格はほかの地域に比べて割安になっています。さらに、小戸・姪浜地区や福浜地区で住宅地開発なども手がけてきましたが、基本的には産業の基盤である物流に関わる部分をきっちり整備することができたと思っています。
――アイランドシティ整備事業でも、九州・アジアを視野に入れた新しい産業の集積や先導性の高い住環境の整備など、福岡市の将来をリードする先進的モデル都市づくりが着々と進んでいますね。
酒井 そうですね。そもそも、アイランドシティ整備事業は航路や泊地の浚渫で生じた土砂を処分する埋立事業がベースにあり、その埋立地を有効活用しようと計画されたもの。89年に当初計画されていた干潟埋立から島形式に改定され、94年から工事着工となりました。全体で約400haある面積のうち、約半分が「みなとづくりエリア」として、コンテナターミナルの整備など、国と市港湾局が共同で国際物流拠点としての港湾機能の強化を図っています。一方の「まちづくりエリア」は福岡の新しいまちづくり、新産業の創出といったことを目指して整備が進んでいますが、さきほども触れたように、当社が受け持った約100haのうち約85%の用地分譲の見通しはついています。
(つづく)