博多港開発(株) 代表取締役社長 酒井 勇三郎氏
福岡市の都市力がまだ、脆弱だった約50年前、行政だけでは困難な港湾整備に民間の力を活用しようと福岡初の第3セクター、全国的にも先駆けとなる株式会社方式の港湾整備会社として設立。以後、博多港開発(株)は須崎ふ頭の埋立事業を皮切りに、港湾整備事業を通じて福岡の都市力アップに貢献してきた。その港湾開発事業のこれまでと現状、さらに今後の課題を踏まえ、同社が果たしてきた役割、今後に期待されることなどについて、酒井勇三郎社長に語っていただいた。
港湾整備は長期的視点で
――アイランドシティ整備事業が着々と進んでいく中、博多港の開発事業はひと段落ついたという空気があるように感じられます。また、昨今の経済・社会状況の変化から、現計画にのぼっている港湾整備事業を見直そうという流れもあるようですが。
酒井 確かに、ひと昔前と比べると、経済・社会状況は大きく変わっています。例えば、ひと昔前までは当社の後ろには福岡市がいるということで金融機関から潤沢に事業資金を借りることができましたし、返済についても埋立造成地の分譲状況に応じた「随時返済」が認められていました。しかし、今は金融環境が非常にシビアになり、それまでの「コーポレート・ファイナンス」から「プロジェクト・ファイナンス」に変わっています。そうした中、収支に見合う事業でなければ融資が下りないなど、港湾整備事業における資金調達が難しくなってきているのは事実です。その金融環境の変化の中で、当社の役割がどこにあるのかを整理しながら事業を展開していく必要性も感じているところです。
ただ、港湾整備というのは10年、20年といった長期的な展望のもとで進めていくべきものです。福岡の街の今の成長があるのは、長期的な計画を立て、その計画に従ってこれまで整備を進めてきたからにほかなりません。そうした観点から、非常に古くなっている須崎ふ頭のリニューアルや須崎ふ頭のつけ根にある長浜船溜の埋め立て、箱崎ふ頭の整備、博多船溜の活用など、すでに計画されている事業を推進していくことが望まれます。そのうち、4~5年という比較的短いスパンのもので、事業収支があうものについては、今後も当社がお役に立てるのではないかと思っています。(つづく)
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