民主主義は独裁と専制に
2009年2月、『地方を殺すのは誰かー立ち上がれ、圧制に苦しむ地方の経営者よ!』を著した岩崎産業代表の岩崎芳太郎氏。強烈な本のタイトルの裏側には、中央に対する批判のみならず、声を上げない地方経営者に対する檄の意味も込められているようだ。そんな岩崎氏の想いを存分に語っていただいた。
所在地:鹿児島市山下町9-5
創 業:1923年5月
設 立:1940年4月
資本金:39億円(グループ全体)
年 商:(08年度)約530億円 (グループ全体)
―世論を形成する大手マスコミが「第四権力」と呼ばれるところに問題があると思います。
岩崎 彼らが権力としては一番安定的ですよね。対抗勢力がいないから。日本においては第三権力(司法)が有名無実で、言い換えれば第二権力(行政)と第四権力(マスコミ)が合体しています。政治もしくは立法というのはすでに何の力も持ち得ていません。
いずれにしても、つねに蚊帳の外にいるのは地方の民間人です。正確に言うと、昔はそのなかでも我々が何とか格好をつけていたのは、政治を通じてそこに対抗しえていたからです。その象徴が田中角栄であり、新幹線や高速道路です。
それがいつのまにかいろいろな要素が混じり、そこに大義も力も無くなったがゆえに、無駄な道路はつくるな、新幹線はいらない、という話になってきた。それを巻き返すだけの論理も力も政治は持ちえていないですよ。
また、今マスコミに載っている話は嫉妬心的な官僚叩きだったり、政治家叩きだったりします。とくに後者は、悪い意味で彼らの特権をとりあげて権力を貶(おとし)めています。一方で、官僚をいくら叩いたって核心には迫れません。
ある意味、第二権力と第四権力は茶番ですね。お互いともサラリーマンで、ちょっとした小競り合いをしていれば良いのですから。
―そのなかで、地方は中央に振り回されています。
岩崎 地方は三位一体なる地方分権という言葉に騙され、道州制という夢を見させられることで、中央にガス抜きされています。ただ、一応は建前であっても、この国は憲法から始まった法治国家の体系と、形だけでも司法権が独立しているという点で、何らかの方法でレジスタンスできます。また、そうしなければならないでしょう。
~つづく~
【大根田康介】
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