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港湾整備は短期的スパンでなく長期的展望に立って進めるべき(5)
特別取材
2009年5月15日 08:00

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博多港開発(株) 代表取締役社長 酒井 勇三郎氏

福岡市の都市力がまだ、脆弱だった約50年前、行政だけでは困難な港湾整備に民間の力を活用しようと福岡初の第3セクター、全国的にも先駆けとなる株式会社方式の港湾整備会社として設立。以後、博多港開発(株)は須崎ふ頭の埋立事業を皮切りに、港湾整備事業を通じて福岡の都市力アップに貢献してきた。その港湾開発事業のこれまでと現状、さらに今後の課題を踏まえ、同社が果たしてきた役割、今後に期待されることなどについて、酒井勇三郎社長に語っていただいた。

須崎の都市機能化を

 ――「博多港長期構想検討委員会」が先般、中間案をとりまとめたと発表されていました。
 酒井 港湾整備は大体、10年ごとに改定して進められます。今の計画は01年度に策定されたので、11年度に新たな計画が策定されるという流れに沿ったものです。その港湾計画を策定するための総論議論が今、行なわれているわけです。おそらく、ウォーターフロントの再開発の部分とコンテナ取扱量100万TEUに向けた港湾整備計画が入ってくるでしょう。ただ、前回計画された港湾整備事業のうち、中央ふ頭や須崎ふ頭の港湾整備などのように積み残しの案件がまだ、かなりあります。新たな港湾整備計画を進める前に、現計画の中で積み残しとなっているものをいかにクリアするかが先決のように思っています。

 ――中間とりまとめ案ではコンベンションや観光といった交流産業の集積、都心部ウォーターフロント地区と天神・博多駅を結ぶ次世代型路面電車の導入なども求めていました。
 酒井 そういうのも総論としては出てくるでしょう。ただ、それを絵や図面に落とした時にどうなるかが問題です。コンベンションは中央ふ頭のつけ根に集めることになると思いますが、それよりも重要なのが須崎ふ頭の再整備。須崎ふ頭は現在、KBCから海側が切れた状態になっています。というのは、そこを境に用途規制がかけられているからです。私はその法規制を柔軟にして従来の臨海機能ではなく、都市機能化する必要があると思っています。そうすれば天神から1kmもない須崎ふ頭は、民間の活力で海側に都市機能が拡大していくはず。そうしてはじめて、中央ふ頭と須崎ふ頭をどうつなげるか、人の回遊性などをどうつくるか、という議論ができるのではないでしょうか。

 ――ところで、昨今はアジアの近隣諸国に巨大港湾の誕生が相次いでいます。博多港の港湾整備を担ってきた御社からみて、今後の博多港に期待されることは?
 酒井 博多港の水深は浅いので、10万tクラスの船が入ってくるのは非常に難しい状況にあります。そうした中、博多港は釜山や上海のように貨物の取扱量で1000万TEU、2000万TEUを目指すのは非現実的なこと。とはいえ、九州で発生するコンテナ貨物量が年間、約150~160万TEUあるうち、博多港の取り扱いが約半分の75万TEUを占めています。そうした現状を考えれば、博多港は九州の拠点港としてきっちり整備していく必要があるのではないでしょうか。また、東アジアの経済圏に最も近い高機能の港として、さらなる機能強化を図っていくことも必要。さらに、東アジアとの連携強化も挙げられます。そこでポイントになるのが、輸出貨物や荷揚げされた貨物を国内にいかにスムーズに流通させるか、という背後アクセスのよさの強化だと思います。(つづく)


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