しかし、ビックカメラのベスト電器の持株は15.03%、B&Bにしても10.00%しか出資していない。6,300億円を売り上げるビックカメラにとって、この出資額はタカが知れている。時価に直せば、286円(4/24)×13,577千株=38億83百万円+10百万円(B&B出資額)総額40億円程度である。株は市場での価値もある。
また、同社はベスト電器の大型FC店舗に対して商品供給できることから、ベスト電器から配当がなくても大きな利益を生むことができる。
誰でも思うことがある。持株法による関連会社になったベスト電器と関連会社にしたビックカメラの両社は「どうして仕入れを1本化しないのであろうか」と。
違い明らかな仕入価格
以前、ベスト電器とヤマダ電機の比較調査をして、あまりの粗利益率の違いに驚かせら
れた。そのためベスト電器の幹部に、ヤマダ電機の仕入れ方法を取り入れるべきだと話したことがある。しかし、その幹部は大量購入したら価格差はないと相手にしなかった。
ヤマダ電機等は、メーカーに対して予め決めた数量の製品を買取制で作らせている。こ
の方式だとメーカーは計画生産ができ、倉庫代もかからないことから安価に売っても利益が出る。一方、ヤマダ電機等はメーカー品を一般小売店より安く販売しても利益が出る。
だが、売れなかった場合の在庫増の危険性は残る。販売力の問題だけである。自社仕様の買取品ともなれば社内の販売結束も強化され、ヤマダ電機はその販売力を見せ付けるように今に至っている。(ヤマダ電機が瞬く間に大型店を全国に配置したが、その殆どの店舗が旨くいっているのは、故北田会長がベスト電器でも作り上げたような、一枚岩の会社組織があるからである。)
日本人は安心できるブランド品を好む習性が強く、ヤマダ電機はブランド品の買取制で販売力と宣伝の仕方次第で大きな利益を生むことを証明した。
ヤマダ電機等で販売しているブランドパソコンは、安く売っても平均3割近い粗利益率が確保されている。ヤマダ電機の店舗は大きく、来客者には豊富な品揃えに見えるが、売る商品と見せる商品と完全に区別した販売戦略を採用して、自社仕様のブランド品を強力に販売している。
この仕入れ方式は、デオデオとエイデンが経営統合してエディオングループを形成した時のテーマであった。ブランド品の自社仕様率を高め、売上高の50%以上にすることを目標に統合したのであった。
現在この方式によるブランド品の仕入れは、家電量販店のみならずホームセンター等多くの量販店に取り入れられている。
ベスト電器は、自社ブランド「BiBi」「バロン(現在は廃止)」を昔から販売している。東南アジアより自社ブランド品として調達していたが、大手メーカーのブランド指向が高い日本人には受け入れられにくく、爆発的にヒットする商品などは全くなかった。ベスト電器はメーカーではない。そうした商品は安いだろうが、品質面・安全面で顧客から敬遠されてしまう。現在では受け入れられなかった結果として大幅に縮小している。
価格のヤマダ・サービスのベストと言われていた時期もあった。しかし、修理も以前と異なり、各パーツがパッケージ方式になり非常に簡単に修理できる。また各パーツのパッケージ化で、故障率も以前から比べ格段に減少している。そのためサービスが売り物にならなくなっている。
(つづく)
※記事へのご意見はこちら