1916年(大正5年)からの歴史を誇る地場大手ゼネコンも、不況の前にはなす術がなかったのだろうか。15日、福岡市に本社を置く地場大手ゼネコン「高松組」が、突然事業を停止した。取引業者はもちろん、金融機関も寝耳に水だったという。同社が施工を受け持つ建築現場のなかには、なにも知らずに早朝から仕事を始めていたところもあったほどだ。
アクロス福岡(福岡市)、九州国立博物館(太宰府市)など、福岡を代表する建築物の工事にも参加するという、輝かしい業歴を有する同社に何があったのか、週明けからデータマックス取材陣による徹底検証を予定している。
2008年の全国の企業倒産件数は約13,000件、そのうち建設業は4,500件前後を占めるというデータもある。今年も上場企業はもちろん、中小・零細企業の倒産が相次いでいる。政府によるセーフティネットが一時的には機能しても、工事件数というパイが激減している以上、建設業界で生き残る道は極めて厳しいということになる。
09年度補正予算が成立しても、建設業界がどこまで潤うかは未知数である。一時的な措置では延命に過ぎず、企業の体力が回復するには至らないからだ。企業倒産は今後も増加するとの指摘を否定する材料は見当たらない。政治家が永田町でレベルの低い争いを続けている間にも、地域経済を支え続けてきた多くの中小企業が姿を消しているのだ。
老舗・高松組の異変は、建設業界だけでなく福岡の政・財界にも衝撃を与えている。
※記事へのご意見はこちら