八女市の「交流センター1(市町村会館)」の入札をめぐるドタバタ劇は、茶番としか言いようがない。これまで報じてきたように、同工事の入札は「一般競争入札」で行なわれており、予定価格と最低制限価格が事前に公表されている上、設計図書も閲覧を許されている。自社で積算し、「この金額ならやれる」と判断したうえで入札への参加申し込みをしたはずである。にも関わらず、「予定金額が安すぎて工事を請け負うことは難しい」というのであれば、最初から入札参加の意思表示をしなければよい。同工事の入札に参加した共同企業体(JV)は、7JVが揃って「辞退」している。フジタ・オオキタ特定建設工事共同企業体(JV)に至っては、予定価格16億7,500万円に対し「18億5,000万円」という途方もない数字で応札している。明らかに「予定価格では工事ができません」と宣言したものだ。公共事業が減少し、仕事の確保に狂奔する業界にあって異例中の異例と言えよう。「辞退届」と「入札書」の現物をご覧いただくが、これが現実なのである。
通常なら、この異常ともいえる業者の反乱を受けた市長は「それでは八女市の公共事業はやっていただかなくて結構」と、入札をやり直すべきである。前述したように、仕事が欲しいという建設業者は掃いて捨てるほどなのだから、予定価格内で手を上げる企業はいくらでもあるだろう。入札参加の要件である本店・支店の所在地について「福岡県内」「旧八女郡」から「全国」に変更することも可能なのだ。予定金額が安すぎるとして、八女市の方針には従わないとする業者の言い分だけを聞いて、再度のチャンスを与えることは、即、税金投入額の肥大化につながる。自らの決済方針を変えた三田村市長の動きは、建設業者におもねるものでしかない。市長失格と言っておこう。
(つづく)
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