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銀行の「三重苦」の転嫁先
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2009年5月20日 14:47

 大半の銀行の2009年3月期決算は、リーマンショックの影響を受けて、株安による減損処理、不良債権処理損失、本業不振の「三重苦」により、大幅な減益か赤字決算になった。2010年3月期の決算では、引き続き厳しい決算が予想されている。株安による減損処理リスクは小さいと見ているものの、昨秋まで建設・不動産業や中小企業中心であった企業倒産があらゆる業種に広がっており、不良債権処理額の大幅な増額が見込まれるからだ。
そのため銀行による貸し渋りや貸し剥がしが、一層強まるのではないかと懸念されている。銀行格付で「正常先」は、プロパー融資に応ずるが、「要注意先」に対しては、プロパー融資は個別対応であっても、原則は保証協会付融資となる。「要管理先」、「破綻懸念先」、「実質破綻先」に対しては、保証協会付融資しか応じないのが実態である。
一例を挙げると、破綻懸念先に50百万円のプロパー融資をすると、50%~100%、つまり25百万円~50百万円の不良債権額を積み増すことになる。保証協会付融資であれば、0%~10%程度の引き当てで済む計算になる。
銀行サイドから見れば、保証協会付融資を実行し、プロパーの融資が約定返済されると、貸倒引当金が減少する。もちろん金利の引き上げ交渉に応じなければ保証協会融資にも応じない。企業サイドから見ると、新規のプロパー融資に応じずに返済だけをさせられるのは「貸し渋り」であり、「貸し剥がし」となる。その上に金利引き上げを呑まされることになる。銀行の三重苦のつけが回らないようにするには、いかに業績を上げて、「正常先」になるかの手腕が経営者に問われている。

【北山 譲】

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