ベスト電器の販売管理費率は、ヤマダ電機に比べ2.9ポイントも高い。店舗数が多いだけコストもかかろうが、ベスト電器は卸部門も有しており、今期の営業利益の赤字は子会社群に原因がある。まだ「さくらや」が軌道に乗らないのであろう。
ベスト電器とヤマダ電機の販売管理費率の相違点は、ヤマダ電機のその低さにある。ヤマダ電機の1%は176億円に値する。08年3月期は前期に比べて3,242億円売上高が増加したが、販売管理費率は逆に0.8ポイント下落している。経営効率化が進められベスト電器に比べて低いのであろう。
一方ベスト電器は、売上高の上昇と共に販売管理費率も上昇している。さくらやの影響である。ベスト電器単体ではFC店への卸部門があるため一概に比較できないが、09年2月期は17.4%であった。同率は売上高が下がった分前期の16.2%から上昇している。いずれにしろ、連結での販売管理費率を、1%下げれば、経常利益に37億円の黒字効果が生じる。同社はここ5期連続して37億円以下の経常黒字、もしくは赤字である。
連結と単体の売上高と利益の関係を調べると、連結対象会社が単体業績を喰っているが、単体も苦しいのには変わりない。
09年2月期の売上高は連結3,719億円、販売管理費793億78百万円。単体では売上高3,222億51百万円、販管費560億46百万円。連結対象会社の売上高合計は496億49百万円、販売管理費は233億32百万円となり、販売管理費率は実に46.9%にのぼる。連結対象会社には、イーベスト、さくらや(ベスト電器卸分は相殺)などの販売会社がある一方、人材派遣会社のJ・スタッフや金融のベストクレジットサービスなど、経費率の高い事業会社がある。しかしながら連結対象会社の営業赤字は、主にさくらやの赤字と思われる。
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