九州国際大学 国際関係学部 准教授 男澤 智治氏
四方を海に囲まれた日本では古来より港が交易上非常に重要な役割を担ってきた。特にアジア諸国との緊密な関係が求められる昨今、港湾機能は益々需要が高まってきている。今回は国際物流論が専門で九州国際大学国際関係学部・准教授の男澤智治氏に地理的にアジア諸国に近い博多港の将来像を語って頂いた。
―福岡県には政令指定都市として福岡市と北九州市があります。性格の違うこの2つの都市ですが、ものづくりの街・北九州にも港はあります。博多港に対する北九州の役割は、また逆に北九州に対する博多港の役割はどうでしょうか。
男澤 ご存知の通り、北九州は新日鉄をはじめとする製造業が盛んです。これが博多港との一番の違いです。つまり輸出するものがたくさんあるのが北九州、輸入するものがたくさんあるのが博多港です。北九州はメーカーの物流支援が必要不可欠です。苅田町の日産自動車のように自社で港を持っている企業は稀ですからね。
港湾管理というものは各々の港によって性格が違います。だからこそ、その港の独自性を活かすことが必要となります。ただし、各々の港が単独では機能するはずがなく、連携が必要となってきます。北部九州という視点で見れば、博多と北九州に下関を加えるべきだと思います。
これまでの港湾管理の問題点としては「うちの港を使って頂ければ、使用料を何パーセントお安くします」というように、インセンティブに頼っていた感があります。これはもう時代遅れであり、やはり各々に付加価値をつけていくべきです。
特にこれからは人口が減少していくことが予想されます。そして道州制が導入されれば、港湾管理者は一本化され、各々の港の競争力の低下が心配されます。だからこそ、商業都市福岡ならではの博多港へ、ものづくりの街・北九州ならではの港へとそれぞれの強みをもっと打ち出していく必要があると思います。
―独自性を出した港の必要性は各都市の独自性でもあるのですね。その長所と課題点を将来像と併せて伺うことができました。本日はありがとうございました。
男澤 こちらこそありがとうございました。
(了)
【新田 祐介】
※記事へのご意見はこちら