福岡県八女市発注の「八女市町村会館」工事の入札をめぐり混乱が続くなか、あらたに不可解な文書の存在が判明した。データマックスが八女市に情報公開請求して入手した文書のなかの「入札結果について(報告)」と題する文書である。
同文書は今年2月17日付。問題の「交流センター1(八女市町村会館)」の入札を担当した市総務課長名で、工事そのものを所管する生涯学習まちづくり課長宛に出された。
その内容は、16日入札、17日に開札された「交流センター1」の入札が、不落(落札者なし)に終わったことを報告したものだが、後半部分に異例とも言える文言が加えられていた。
「仕様の変更をしない再度の競争入札に付す事は困難であると思われます」というものである。
八女市町村会館の建設工事は、現在の建物躯体を利用して新たな命を吹き込む「リファイン案」を採用したものだったが、所管していたのは同市の「生涯まちづくり課」である。
全体計画や設計、設計金額などについて、総務課は関与していない。総務課は同工事の入札に際し、生涯まちづくり課から契約事務についての依頼を受け、入札を取り仕切ったに過ぎない。(文書参照)
開札日である17日に担当でもない総務課長が、なぜ仕様変更に言及し再入札を否定しなければならないのか。これは明らかに越権行為であろう。
八女市の牛島重信総務課長に確認した。
Q:どのような判断で再入札困難と判断したのか?
「入札の担当課としては、かなりの差(注・予定価格と応札金額の差は1億7,500万円)があったもので、今のままでは到底(再入札は)困難と判断した」
Q:業者から聞き取りでもしたのか?
「していない」
Q:八女市の積算根拠を業者に否定されたことになるが、高値応札した不埒な業者の言い分に合わせるのか?
「別に根拠はない」
Q:この金額でいけるかどうかを判断するのは生涯まちづくり課であり、さらには市長ではないか?
「いや、入札担当としては、多分こんなもんではないかと・・・」
Q:市長からの指示か?
「それはない」
Q:しかし、この文書がベースになって、言い換えれば原点となって、三田村市長は方針転換に向かうのではないか?
「はぁ、そうですね」
以上のような、実にいい加減な理由で、所管外の総務課長が「仕様変更がなければ再入札は困難」などと、さらなる公金投入を促していたのである。
発注金額を上げるため業者側が団結して入札を辞退。1社だけにとんでもない高値で応札させ、あたかも八女市の設計金額が間違っているかのような状況を作り、役所側がそれに迎合してみせた。うがった見方かもしれないが、そうとられてもおかしくない経過であり、裏づけとなる文書が存在するということだ。全てを知りうる市長が黙って見ていたとしたら、とんでもないことである。
本当にこんな杜撰な行政のあり方が許されていいのだろうか。検証をさらに進めてみたい。
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