選挙目当てだからこんなものだろう。そう思わせてくれる自民党の「世襲制限」である。
自民党の党改革実行本部(武部勤本部長)は21日、次の選挙から「世襲制限」を導入する方針を固めたが、さっそく「抜け穴」が指摘される事態となっているのだ。
世襲制限が実施されることで最も注目されるのは、小泉純一郎元首相の子息に対する対応である。衆院神奈川11区から自民党公認で立候補予定の小泉進次郎氏は、小泉元首相の次男で、既に同支部の支部長に就任している。制限にともない公認が得られなければ「無所属」での戦いを余儀なくされる。自民党は、当然のことながら公認候補を擁立しなければならない。しかし、早くも「公認候補擁立はなし。小泉ジュニアの当選後に追加公認」との観測が流れている。完全な「抜け穴」である。
進次郎氏を小泉元首相とは違う選挙区に異動させ、堂々と公認を授ければいいものを、あえて無所属立候補を黙認し、「事実上の世襲」を認めるのなら制限を設ける意味がない。世襲に対する批判は、先代の力を利用しての「政治の世襲」に向けられたものであり、その地域の権力を一族で独占することへの不満でもある。はじめから抜け穴が用意されているのなら、評価に値しない「選挙目当て」であり、実効性に乏しい案ということになる。
新たな公認候補の擁立も含めて、自民党の本気度が試されることになる。
【秋月】
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