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東京レポート

大赤字に転落したクレディセゾン 一段と強まる「みずほ化」(下)
東京レポート
2009年5月23日 08:00

オリックスとの経営統合が破談

 クレディの巨額赤字転落で、去就が注目されたのが「クレディのドン」といわれる林野宏社長(66)。引責辞任の観測が流れた。アトリウムの完全子会社化を発表した日、記者会見には皆勤だった林野社長の姿がなかった。厳しい状況のときこそ、トップが出てきて説明しなければダメだ。敵前逃亡といわれた。
 林野氏は西武百貨店出身。39歳の時、西武クレジット(現クレディセゾン)に移籍。月賦百貨店だった同社をカード会社に業態転換させていくなかで手腕を発揮。00年に社長に昇格。強烈な個性とリーダシップで国内有数のカード会社に育てた。
 林野社長のケチのつき始めは、昨年秋のクレディとオリックスとの経営統合話の破談だった。オリックスの宮内義彦会長(73)を師と仰ぐ林野社長が統合を主導した。2人に共通しているのは、銀行に距離を置くスタンス。オリックスの傘の下に入ることで、独立を保つという戦略だ。持株会社方式による経営統合が検討されていたが、クレディの社内はオリックスに呑み込まれるだけだと統合反対一色だった。
 筆頭株主のみずほグループも統合交渉に衝撃を受けた。カード業界はメガバンクを軸に再編が進んだ。三井住友系の三井住友カード・セディナ(旧オーエムシーカード・セントラルファイナンス・クオーク)連合、三菱UFJ系の三菱UFJニコス、独立系のジェーシービーに、クレディを加えた4強に絞られた。クレディは、みずほ系カード会社の位置付けだ。クレディがオリックスと統合した場合、みずほはメガバンクのカード戦略に取り残されてしまう恐れが強い。
 統合交渉の打ち切りは、米国発の金融危機による金融市場の混乱で、再編の時機ではないと判断したというが、みずほが首を立てに振らなかったためだ。みずほが、グループからの離脱をはかろうとしたクレディを力で潰したのが実情だ。
 オリックスとの経営統合の挫折で、林野社長の統率力は低下。それに大赤字も重なり、進退問題に発展すると見られていた。しかし、林野社長の続投が決まった。今、辞めたら引責辞任と受け取られることを避けたかったのだろうか。
 独立派であった林野社長のつまづきで、今後、クレディの「みずほ化」が進み、「みずほカード」が視野に入っているのは確実だ。
(了)

【日下淳】

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