28日、(株)原弘産(本社:山口県下関市、原將昭社長)の株主総会が、下関市・シーモールパレスで開催された。昨年の総会には130名もの出席者があったが、今回は102名の出席者数に留まった。提案事項に関しては、すべて承認され、開会より40分ほどで終了した。以下、総会での質疑応答の概要と、今後の問題点となる。
<質疑応答>
(1)野村証券などの機関投資家の株主比率が減少した理由について。
→ 機関投資家の判断。
(2)メインバンクである山口銀行が、資金を引き揚げる恐れはないのか。
→ 今後も協力してもらえると思っている。
(3)大幅な赤字決算なのに、役員退職金を支払うのはどうか。
→ 少額であり、寸志程度の額。
<株主総会後の問題点>
(1)不動産事業の展開
・今期、新規に販売するマンション物件はなく、不動産事業部の販売員の大半は退職(4月20日に13名退職、5月20日に8名退職)しており、在職中の社員は、エストラスト(本社:山口県下関市)の物件を代理販売(エストラストの社員の名刺で)している。
・下関市南部の底地の売却(山口銀行に建築資金の融資を申し込んだが断られたため)、山口市白石の底地の売却(山口県信連からプロジェクト融資がストップしたため)で運転資金を捻出している。
・宇都宮のホテル(投資額21億円)の売却が進まず、借入先のオリックスとの関係が悪化している。売却しても12億円程度の見込み。
・大阪のクリスビル(投資額42億円)の売却が進まず、借入先のみずほ銀行と関係悪化。借入金27億円に対して、売却しても15億円で買い手がつくか不明。
・神戸・明石町商業ビルへの劣後債投資42億円(アーバンコーポレーションとのバーター取引)は、売却見込み額が40億円前後であり、先順位者が43億円出資しており、42億円は回収不能。
・東日本JRから購入した吉祥寺のSPC物件の損失も約40億円(アーバンコーポレーションとのバーター分)。借入80億円は民間企業からであり、いずれ裁判となる見込み。
(2)風力発電事業
・中国での風力発電事業では、売り上げ及び利益の還元はない。
・日本国内の風力発電においても、受注する資金はなく、たとえ受注しても赤字となる。その理由は日本製鋼所への丸投げであり、利益も取れず、日本製鋼所は債権譲渡を受けない限り、原弘産からの工事を請けない。
・日本製鋼所は日本国内の受注販売権利を持っており、原弘産とはライバル関係にある。
(3)棚卸資産の評価
・約400億円程度あるが、減損処理を行なえば200億円を切る見込み。自己資本が70億円とすれば、130億円の債務超過が見込まれており、その上に営業損失が発生すれば、債務超過はなお膨らむことになる。
現状では手持ちの現金で食いつないでおり、これが尽きると倒産するしかない。銀行からの新規融資はすべてストップしており、資産の売却しか現金化する手段がないという状況だ。いつまで生きるかの判断であるが、山口銀行の株主総会後の6月26日以降か、原弘産の第1四半期の決算発表の7月15日前後が山ではないかと思われる。いずれにせよ、子会社の住吉重工業の処理など、他の要因にも大きく左右される。