(社)福岡貿易会 会長 並田 正一 氏
福岡地区の貿易振興を目的に1958年9月に設立。以来、(社)福岡貿易会は半世紀にわたり貿易実務に関する講座やセミナーの開催といった人材育成事業をはじめ、情報提供事業、コンサルティング事業、海外経済視察団の派遣などを通じ、地域の貿易振興に貢献してきた。その延長線上として荷主の立場からの“使いやすい”港づくりに向けた活動も行なう同会の並田正一会長に、博多港の発展に対する期待などを語っていただいた。
貿易関係者の育成を柱に
――2009年度は設立50周年ということで、さまざまな記念行事を行っていますね。
並田 昨年は海外経済視察団派遣でブラジルに経済視察団を出しましたし、12月には三井物産戦略研究所長の寺島実郎氏を講師にお招きして記念講演会も開催しました。今年に入ってからもインドシナ半島に経済視察団を出すなど、いろいろな事業を行なっています。その総仕上げになるのが、記念誌の発行です。
――(社)福岡貿易会が設立された経緯とは?
並田 当会は「福岡市は国際貿易で伸ばしていくしかない」という奥村茂敏・元市長の方針のもと、福岡地区の貿易振興を推進する福岡市の協力により1958年に設立されました。当時は輸出振興が国是としてあり、海外から原材料を輸入し、国内で製品化したものを輸出することで、この国を発展させなければならないという方向にありました。その一環として博多港の港湾整備が貿易振興の大きな柱として進められました。そうした中、当会は博多港の振興をソフト面からサポートしていくための団体としてこれまで、地域の貿易関連企業に貿易実務のスキルやノウハウを習得していただくためのセミナーや研修会といったことを地道に開催してきたわけです。
――具体的には?
並田 国内で商品のやり取りをするのとは違って、貿易に携わる場合には専門知識が求められます。例えば、どうやって通関手続きをするのか、貿易決済を円滑にするための手段として銀行が発行する支払い確約書であるL/C(Letter of Credit:信用状)をどうするか、等々。中には、商社にお任せすればいいという方もいるかも知れませんが、本格的に貿易に携わろうというのであればやはり、貿易をする上で必要な知識は自らもっておく必要はあります。そこで、貿易に関わる地域の方々に実務のスキルやノウハウを習得していただくためのセミナーや研修会、さらに語学講座の開催などを行なっているわけです。
(つづく)
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