社員の満足が顧客の満足に 新生する城山観光ホテル
2008年3月、城山観光(株)は06年4月1日からの私的整理ガイドライン(指針)に基づき、通常は3年計画の経営再建を1年前倒しで達成し話題となった。新体制下、新生・城山観光としてスタートを切った同社代表の伊牟田均氏に、経営観と今後の見通しについて話を聞いた。
所在地:鹿児島市新照院町41-1
設 立:1961年3月
資本金:3,000万円
年 商:(09/3予想)約555億円
ボトムアップの経営
―まずは新社長になられたお気持ちをお聞かせください。
伊牟田 私は鹿児島出身で、生まれも育ちもここでしたが、野村證券に入ってからは仕事で東京や海外にいました。親戚がいますから年に1、2回は帰ってきていましたが、仕事に従事する点では実に38年ぶりに帰郷したことになります。
今年4月に社長になりましたが、私が最初に来たときは、1年前の私的整理の再建計画が1年前倒しで終わったすぐのころです。鹿児島県民の応援、銀行団の支援、そして役職員の方たちが努力し、また不動産もミニバブルのときに予想以上に高い値段で売却できたため、運よく前倒しになったのだと思います。
やはり、これまではオーナー経営でした。世の中にはオーナーで素晴らしい方は多数いらっしゃいますし、私は先代に会ったことも訓示を受けたこともないから良く知りませんが、いろいろな人に話を聞くと、相当カリスマ的だったようです。それが良い面もありますが、一方で事業規模が拡大してくると、トップダウンの考え方・やり方で借入して本業以外の投資を始めてしまいがちです。
それがうまくいけば良かったのですが、神話的な右肩上がりの経済は1980年代で終わっていました。そうなると、不動産も株も何でも値上がりするのが前提の経営とは決別しなければ、本当の会社の実力は出せません。いまはオーナー経営でなくなりましたから、これからは普通の会社としてどのように経営していくかが問われると思います。
―具体的にどのような経営をされるのですか。
伊牟田 私流に言えば「ボトムアップの経営」です。これを進めたい。昨年6月にここに来たとき、3カ月くらい60名の幹部と面談しヒアリングしました。これからまともな会社にするためにどうすれば良いかと考えたとき、原点はやはりボトムアップでした。社員・役職員すべてがアイデア、意見、工夫を自由に出せる雰囲気づくりです。
いままではトップダウンでしたから、待ちの姿勢が強かったと思います。社員たちそれぞれがアイデアを出さない会社は長く続きません。しかしながら、ただ下にすべてお任せというわけでなく、最終的には役員会議なり社長決裁で決定します。ベースとしては、全員に参画してもらうのが一番だと考えて進めています。
~つづく~
【大根田康介】
※記事へのご意見はこちら