さまざまな議論を呼んだ、慈恵病院(熊本市)に設置された「こうのとりのゆりかご」。“赤ちゃんポスト”と言えば、お分かりになる方も多いだろう。
25日、熊本市要保護児童対策地域協議会「こうのとりのゆりかご」専門部会より、2年目となる08年度の運用状況に関する短期的検証が発表された。運用開始初年度(実質11ヵ月間)は17件の利用状況であったが、今回は25件と増加している。しかも、驚きなのが関東エリアからの利用が3件から8件に増加し、全体の3割を超えていることだ。
昨年後半からの景気悪化に起因する経済的事情による利用があるのでは、と熊本市役所に確認したが、「今回の発表は短期的検証のため、利用背景などについての情報はまとめられておりません。今秋に、熊本県の中期検証会議での最終報告が出されますので…。その最終報告をもって、厚生労働省に具体的な問題提起などを行なう予定です」(熊本市子ども未来局子ども育成部子ども政策課要保護児童対策室担当者)と若干拍子抜けの回答だった。
さまざまな倫理面な問題はともかくとし、実際に失われる可能性の高い幼い命を守る「こうのとりのゆりかご」の運用事態は賞賛すべきであろう。倫理面という難しい問題を抱えているとはいえ、行政レベルでの動きをにぶく感じるのは気のせいだろうか。今秋の最終報告内容と今後の展開が注目される。
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