行政のトップである市長が代われば役所も変わる。当たり前のことかもしれないが、悪い方に振れた時、不幸なのは市民である。
福岡県八女市が、公共事業(八女市町村会館建設工事)をめぐる疑惑に揺れている。情報公開請求によって入手した公文書からは、市長以下組織ぐるみで地場業者と癒着したと思われても仕方がないようなものばかり見つかる。さらに、八女市役所が決めた重要な事案について根拠となる文書の提示を求めると「ない」と言い出す。「口頭」物事が進められているのである。改革派市長の下、長らく「談合」だの「疑惑」といった言葉とは無縁だった同市の職員にとって、戸惑うことばかりかもしれない。しかし、行政のやることに根拠となる文書がないということは許されない。八女市の職員とやりとりしながら「どこかと同じだ」と感じた。福岡市役所の現状である。
吉田宏福岡市長が就任してからの福岡市役所は「こども病院人工島移転」の暴挙をはじめ、市長の言動に振り回され続けている。挙げ句の果てには重要な文書を「個人の備忘録」「捨てた」と言い出す。データマックスが昨年7月にスクープした、こども病院現地建て替え工事費を1.5倍に水増しした問題では、何を根拠に工事費を膨らませたのか全く明らかとなっていない。「口頭で大手ゼネコンに聞いた」という。驚きである。
職員に緊張感がなくなり、次々と問題が起きる。契約書なしで勝手に数千万円もの契約を結んだり、新型インフルエンザの発熱相談で24時間対応を怠ったりと、数えだしたらきりがない。
八女市と福岡市、規模こそ違えトップのだらしなさが職員に伝播するという点ではまったく同じと言えるだろう。ダメな市長に諫言する職員がいないという点でも両市は似ている。市長ではなく、市民と向き合ってこその市政であることを肝に銘じて欲しいが・・・。
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