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東京レポート

5ヵ月で社長が交代する西松建設 救済統合説が再燃(2)
東京レポート
2009年5月29日 08:00

<株価が大暴落>
 一連の不祥事に敏感に反応したのが株式市場だ。昨年6月時点で300円前後あった西松建設の株価は下がり続けた。國澤社長が逮捕された翌日の1月21日には100円を割り込み、同23日には上場以来最安値の66円まで暴落した。
 株価が倒産銘柄に落ち込んだことで、西松建設の救済統合説が公然とささやかれた。しかし、経営不安は霧消した。西松は健全な財務基盤を誇っていたからだ。
 2000年前後にゼネコンの破綻、金融支援が相次いだ。債務免除を受けたゼネコンには、フジタ、青木建設(その後民事再生)、佐藤工業(その後会社更生)、長谷工コーポレーション、ハザマ、大末建設、熊谷組、三井建設、飛島建設などがある。
 このゼネコン危機の際、財務が健全で優良ゼネコンの評価を受けていたのが西松建設だ。その後の公共工事減少のあおりを受け、売上高や営業利益は減少傾向にあるが、健全性が損なわれたわけではない。
 09年3月期の連結決算によれば、利益剰余金は1,036億円。それに対して、有利子負債(借入金と社債)は952億円。剰余金と有利子負債をバランスさせている。これは財務能力に優れた企業に見られる特徴だ。
 株価でみるかぎり、いつ破綻しても不思議ではない惨状だが、財務内容に照らし合わせれば株式市場の過剰反応と言わざるをえなかった。5月25日の株価は145円。決して高いとはいえないが、株価は持ち直してきた。それとともに、統合説は消えた。

<戸田建設か前田建設か>
 ところが、再び襲ってきた激震。社長を含む代表取締役4人が全員退任して経営陣を刷新、出直しを図るという。新人事が発表されるや、「新社長の仕事は経営統合先を探すことにある」という観測が駆け巡ったのだ。
 西松建設は財務内容が健全とはいえ、金融のプロの間では「危ない会社」だ。金融のプロたちが、大企業の信用度を図る指標にしているのがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)値だ。
 CDSとは、取引先の経営破綻や債務不履行による損失を肩代わりする保険商品の一種。取引先の信用度が低いと、プレミアムと呼ばれる数値も高くなり、保険会社などに支払う保証料も高くなる。
 CDSの取引は相対で行なわれるため、株式市場のように価格が一般に公開されることはなかったが、現在は東京金融取引所が上場企業129銘柄を対象に金融機関から提供される値の平均値を、毎日公開している(ホームページで閲覧できる)。
 西松建設の5月25日時点のCDS値は、1,396.00ベーシックポイント(BP)(年率13.96%)。これは、100億円の西松向け債権を保有している金融機関は、年間13億9,600万円の保証料を支払わないと、損失肩代わりのCDS契約を結べないという意味。400BPが「危険水域」とされており、金融のプロたちは、西松を破綻リスクが高いと判断しているのである。
 かくして、西松建設の救済統合説が再浮上してきた。新社長はどこと手を結ぼうとしているのか。最有力は共同技術開発で業務提携を結んでいる戸田建設。しかし、メインバンクは西松がみずほコーポレート銀行、戸田が三菱東京UFJ銀行で異なるという問題がある。ならば、みずほの仲立ちで、前田建設工業や清水建設が救済に動くシナリオも考えられる。西松建設の今後に注目だ。

~了~


【日下淳】

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