八女市役所で今年4月13日に起案・決済された文書に「交流センター整備事業の経過について」と題するものが存在する。07年3月からの「八女市町村会館(交流センター)」建設工事に関する経過をまとめたものだ。このなかに、同工事の入札が「不落」に終わった2月17日以降の動きが記されていた。
注目したのは「以後、入札に参加した業者から見積もり等について聞き取り調査を行う」との記述である(添付文書、赤線部分参照)。なぜ入札に参加した業者から意見を聞く必要があるのだろう。
「入札に参加した業者」からの聞き取りは、3月6日以降ということになっているが、文脈からすると、この聞き取りは「新築」に向けての地ならしということになる。
八女市が入札に際し提示した「予定価格」は16億7,500万円。それに対して応札したのは8共同企業体(JV)のうち1JVだけで、入札金額は「18億5,000万円」。それ以外の7JVは入札を辞退してしまっている。当然、八女市が聞き取りのため呼び出したのは「応札した業者」ということになる。
市の担当者に確認したところ、聞き取りをしたのは地場業者ではなく「大手ゼネコン」(市担当者)だという。八女市の予定価格に公然と反旗を翻した業者から聞き取りをするということは、業者の言い分に沿った行政の執行を意味する。事実、この文書の通りなら、利害関係を有する業者から聞き取りをした結果が「新築案」への転換につながったのは明らか。八女市は市民ではなく業者のほうを向いて仕事を行なっているとしか言いようがない。
(次週へつづく)
※記事へのご意見はこちら