こども病院の人工島移転にともない、現在の「福岡市立こども病院・感染症センター」のうち「感染症センター」がなくなることになる。福岡市は「決まったこと」としているが、ことはそう簡単ではない。
世界保健機関(WHO)による新型の豚インフルエンザに対する警戒レベルが「フェーズ5」に引き上げられ、国内にも感染が拡がる可能性が出ているなか、福岡では「感染症センター」の存在意義が見直される事態となっている。
新型インフルエンザへの感染者が確認された場合、福岡市の場合は「感染症センター」に隔離するからである。県や市は新型インフルエンザの感染が心配な場合、まずは「発熱相談センター」に電話し、指示を受けて冷静に対応することを求めているが、それは今現在への対応。
問題は、重要な役割を担う「感染症センター」の廃止を決めた福岡市が、廃止後の感染症患者の受け入れについて何も公表しきれていないことだ。市側は、九大か県に後をお願いしたいとしているが、具体的な話は進んでいない。こども病院はできたが感染症センターはなくなりました、という事態も想定される。感染症に対応する病院を指定する権限は県が持っており、このままではどうなるか分からない。
福岡市の勝手で廃止を決めた「感染症センター」だが、県や医療関係者と十分な打ち合わせがあったわけではない。無責任な吉田市政のあり方に改めて批判が出そうだ。