12日、詐欺的手法ですべてを集めた上あっけなく破綻した不動産管理会社、丸美(福岡市)の関係先への家宅捜索が、福岡を含めた5県の県警によって一斉に行なわれた。その現場で取材した記者の目を通した当日のドキュメントである。
5月11日 夕刻
強制捜査の情報が入る。
データマックスは、昨年から刑事事件への発展を示唆してきた。先月頃から強制捜査の情報は聞かれていたが、いよいよといった感じ。捜査の前日に、一部報道で情報が流れた点には、やや疑問を感じる。
5月12日
6:30
取材班が、複数個所に分かれて待機。持ち場は、粕屋郡志免町のとあるマンション。金丸氏が出入りしている場所で、元役員の自宅もあるとされる。
張り込む必要がない「はずれ」の場所と判断したのか、それとも情報を持たないのか、他社の姿は無い。中央区の新旧事務所や城南区の金丸氏宅とされる場所には、多くの報道人が集まっているとのこと。こちらは空振りなのか…?
7:30
大手新聞社の記者が1人来ただけ。正月元旦に丸美の記事を掲載した社だけに、継続的に取材している様子。地場新聞社の動きにも期待したものの、最後まで現れなかったのは残念。
まだ県警の動きは無い。
8:00
マンションの前を銀色の国産乗用車が横切る。4人乗車。風貌から捜査関係者と推測。私を含めて2人だけの取材ということもあり、マンション周辺はごく日常の風景が流れている。引っ越し業者がたまたま作業をしており、館内への入口は解放された状態。
8:30
県警の捜査員と思われる3人が館内へ。段ボール持参。ここに来るとの読みは当たった。
玄関先に管理人室があるものの、令状を提示した様子は見られない。捜査が始まった模様。同時刻、他の丸美関連先でも捜査員が入ったとの情報が入る。
9:00
捜査員は間違いなく館内にいる。ところが、目ぼしをつけていた部屋に入った形跡が無い。1階のその部屋は元役員M氏の自宅とされ、外からでも帳簿類が多く並べられている様子が見て取れる。捜査員は館内のどこにいるのか?
8:30に同時に始まった家宅捜査だが他の関連先では10分程度で引き揚げていったらしい。
他方、こちらはまだ館内にいる。少なくとも「はずれ」ではないようだ。状況を見守る。
10:10
マンションの周囲から手がかりを探るなか、10:00頃に中央区の新本社で動きがあったとの情報が飛び込んできた。捜査員が段ボールを持って再度入って行ったとのこと。
とすれば、こちらでも動きがあるかもしれない。正面玄関に戻ると、捜査員らしき人物がマンションに向かってくる。間違いない、これで4人がマンションに入ったことになる。
捜査員が、管理人に鍵らしきものを見せている。管理会社から調達してきたのか、それとも部屋の所有者から預かったのか、少なくとも管理人が渡した鍵では無い。
どこの部屋の鍵か?目を凝らすと、捜査員は4階に昇って行く。
捜索対象は1階では無く4階の部屋。M氏の部屋では無かったようだ。
事前の未確認情報の中に、「金丸氏は志免のマンションに住んでいるのではないか」との話が含まれていた。M氏の部屋を訪問していただけなのか、それとも、別に部屋があってそこに住んでいるのか。後者の話の可能性も膨らんできた。できれば捜査関係者のコメントが取りたい。
11:00以降
若手の捜査員が定期的に出ては戻りを繰り返す。アプローチを試みても、一切ノーコメント。周辺の取材に切り替えざるを得ないと判断し、いったんその場を離れることにした。
捜査は5県の県警合同で一斉に行われたものではあるが、ブツ読みが必要なため時間を要する捜査となりそうだ。
捜査は13日も続いている。