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高松組特集

【緊急座談会】高松組破綻を徹底議論 波紋広がる地場建設業界の行方(1)
高松組特集
2009年5月22日 13:38

緊急座談会・高松組の破綻と今後の影響

去る5月15日、高松組が突然「休業」する旨を発表した。高松組といえば、福岡地区地場ゼネコンを代表する1社。また、社長の高松宏氏は福岡建設協力会の会長を務めている。従って、その破綻ともなれば影響は大きく、その波紋は取引業者のみならず地場建設業界全体に波及するものと予想される。そこで弊社では急遽、高松組がここに至るまでの経緯、現状、周囲への影響、さらには今後の展望も含め、各分野の弊社担当者による座談会を行なった。座談会メンバーは、ゼネコン担当の緒方克美、金融担当の柳憲一郎、デベロッパー担当の石崎浩一郎、下請け業者や仕入先関係担当の鹿島譲二。

<何故、5月15日に事業停止を決断したのか>

 ―ご存じの通り、高松組が15日金曜日早朝に事業を停止しました。同社発表の文面には、「支払い資金の準備ができず、休業する」とあります。今後は破産手続へ移行することになるでしょう。なぜ、このような事態に至ったのでしょうか。同社に対する周辺業者の見方なども踏まえてお聞かせください。

 緒方 高松組が6月5日(建築代金の決済日)に資金的に行き詰まるという噂は、かなり早い段階から流れていました。元々の物件の買主であったリプラスの破綻により、ユニカが支払いができないのではないかということが前提になったときです。このため、高松組が6月5日より以前に行き詰まるとの予想は少なかったように思います。高松組は他のゼネコンと違い、福岡建設協力会の会長をはじめ、業界団体などの役職を務めています。確かに、財務内容で見ると厳しいものはあったものの、建設協力会会長の会社が現実に行き詰まるものなのかという見方から、他のゼネコンに対する見方とは少し違っていた、というのが周囲の判断ではなかったでしょうか。
 とはいっても、福岡のゼネコンでどこが危ないかという話になると、上位クラスで高松組の名前は必ず出てきていました。それは相当前からだったと思います。過去に高木工務店、橋詰工務店などが倒産してきました。そのなかで生き残った上位クラスの地場ゼネコンは、どこもそれなりの財務内容を誇っていたため、財務状況などの消去法でいくと危ないのは高松組だ、という見方をされていました。

 鹿島 同社に対する周囲の見方は、かなり極端に分かれていました。ひとつは、従来からの良い企業という評価を引きずっている業者。他のゼネコンに対するものとは違い、いわゆる「高松神話」のようなものを抱いていた業者がかなりあったように思います。他方、ここ1、2年のスパンでは、同社の大幅な安値受注が周辺業者の不安材料となって浮上してきていました。加えて、ここ2、3カ月のユニカの話もあり、不安が急速に広まりつつあったことも事実です。

<銀行主導で潰されたのか>

 ―かつてバブルの後遺症で潰れた橋爪工務店であれ高木工務店であれ、高松組と同じくマンション主体の受注構成でした。高松組の破綻は、改めてマンションで業績を伸ばしてきたゼネコンの淘汰が本格化しはじめたとも言えると思います。では、なぜ5月15日に破綻したのか。福銀に潰されたのではないか、との話も巷では流れていたようですが。

  私は15日に西日本シティ銀行を含む取引金融機関2行と接触しましたが、2行とも「寝耳に水」という表現を使っていました。ですから、15日の朝に初めて知ったというのが実情ではないかと思います。金融サイドからの視点、財務内容的な視点から見れば、同社は歴史が古い割には資本蓄積が少なく、また流動比率や当座比率も業界平均に比べて劣後しています。この点はやはり問題視せざるを得ません。決算書を見る限りでは表面上黒字を計上していますが、最近の倒産事例の傾向からしても、粉飾決算であった可能性も多分にあり得ると考えています。とはいえ、高松組の背景や金融機関の反応を見た感触からは、おそらく金融機関の自己査定上は正常先に分類していたと思います。ある銀行では今月短期の反復資金を出す段取りをしていたとのことですし、金融機関にはそこまで逼迫感はなかったと思われます。
 余談ですが、仮に正常先がいきなり破綻したとなると、ロス債権も出てくるでしょうし、そうなると金融庁からの追及が厳しくなります。引き当てもしていないでしょうから、その問題も出てきます。おそらく、保全100%のところはまずないと思いますので、何がしかのロス債権は覚悟せざるを得ません。正常先からのいきなりの破綻では、ペナルティーもかなり科せられるでしょう。金融機関にとっても、まさに突然という感じだったと思いますよ。  

 鹿島 私は福岡銀行本店営業部へ行ってきました。通常、金融機関は、これだけの規模の取引先の倒産であれば何らかのリアクションがあってもいいはずですが、「わからない」の一点張り。地場ゼネコンが破綻すると地域経済に良くないのでは、などといった一般論的な話題にも同じ姿勢でした。

  先の2行ですが、銀行側から高松組に連絡をしても高松組からは何ら説明もないため、最後は怒り心頭といった様子でした。それと15日の決済資金については、どうも各銀行の預金をかき集めれば決済できた金額らしい、とのことです。ある行員は「高松社長が長期的な展望に立って決断されたのではないか」と、社長の考え方次第だったのではないかと言っていました。

 石崎 破綻理由として引き金になったもののひとつに、ロワールと組んだ波多江のマンションの失敗が挙げられます。最終的にどれくらい引き取ったのか、損失が出たのかは定かではないですが、かなりの負担になっていたのではないでしょうか。あそこはもともとSPCで、現在も販売中です。高松組が事業主体となり、60戸くらいで10億円ほどの案件だったと思います。

(つづく)


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