＜山口銀行次第＞
　５月28日、09年２月期の決算株主総会が行なわれた。注目の原弘産、ベスト電器の株主総会は意外と静かであった。「もう少し株主の追及があっても良かったのではないか」「株主は大人しすぎるのではないか」というご立腹の意見もあるようだ。「ごもっとも」と賛成したい。だが、株主たちはもーとっくの昔に先を見通している。「こんな能なし経営者たちを相手していても時間の無駄だ。いずれ潰れる。株を売ってしまえ」と腹を括っている。株主自身は冷めてしまっている。株主に見捨てられるとは哀れな２会社だ。
　原弘産の場合には責任を取って代表取締役社長が辞任するのは筋だと思うのだが、責任を取ることなど一顧だもない（代行できる人材もいない）。このサイトで度々指摘した通り、厳密に計算すれば債務超過の恐れがある。今後の事業展開（売り上げの目処）がない。メインの山口銀行が６月に株主総会を迎える。「この後に切り捨てられるのではないか」という観測が流れている。そのあたりを株主さまは直感しているのだろう。

＜株主どころか消費者にも見捨てられたベストでなくワースト電器＞
　ベスト電器の株主総会で株主から「ベスト電器あらためてワースト電器に商号変更する」と緊急動議が提出されるとユーモアがあって良かったのだが――。そんな愛着を一般株主はワースト電器に対して一片のかけらも抱いていない。この会社の09年２月期の売上高は前期比10.1％減の3,719億円だ。株主どころか一般消費者からも、ついに見放されてしまった。福岡の消費者の誰もが「地元のベストを応援しよう」という気分になれない。生き残れるにはビックカメラ頼りの資本・業務提携しか残されていない状況だ。
　この会社を長年ウォッチングしてきたが、企業の性根がまったく変わらないのには驚く。現会長・有薗氏が社長当時に、関連会社社長のスキャンダルが発生した。弊社としては当初、地場の企業として一時は家電の部門の日本トップに君臨した会社だから、体質改善できる自己作用能力があると踏んでいた。ところが、臭いものには徹底的に蓋を閉めた。悪徳幹部を終始擁護したのである。上場会社としてのコンプライアンスなんかはなきに等しい組織であった。このような経営姿勢は、必ずお客との向かいにおいて露呈する。お客を蔑ろにする精神だ。
　今回のDM不正犯罪に関しても悪びれた様子はない。「担当者の問題だ」と言いたげである。さすが、株主総会では、浜田社長が「今後、法令順守に徹する」と謝罪したようだ。犯罪責任から逃避するような経営陣のワースト電器では『熾烈』を超えて『淘汰』の時代には座して死すしか方策はないといえる。我々も驚いている。この「ネットIB」において『ベスト電器特集』を連載する。必ずベスト電器に関する記事へのアクセス数は2,500～3,000（１日）あった。今回のDM不正を含めた特集を組んだ。反応のなさには愕然となった。１日アクセス数は500程度なのだ。世間はベスト電器には関心も示さない。「もう潰れてしまった」という意識になっているのだろう。忘却の彼方になっているのだ。恐ろしいものだ。かつては家電小売りの全国一の会社だったのだが。

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