吉田宏市長が、政令市福岡のトップとして不適格であることは多くの市民が認めるところである。市役所内部からも「次の市長は誰になるのか」といった声が聞こえてくる。市長選挙での公約は次々に反故にし、市政運営については役人任せで泥をかぶろうとしない・・・。問題と正面から向き合う姿勢が欠けており、これでは「もう一期」と言う方が無理だろう。その市長が、またも逃げた。
先月下旬、福岡市が進めるこども病院人工島移転計画の中心となる「PFI事業」の内容が変更されることが報じられた。事業内容変更はゼネコンの都合に合わせた「救済策」であり、変更の指示がいつ、誰によってなされたのかに注目が集まっている。ゼネコンと市による談合と思われても仕方がないからだ。さらに問題なのは、PFI事業の見直しは、担当課が積み上げた結論ではなく、「上からの指示」であった可能性が強いことだ。
6月議会へのPFI関連議案の提出を見送り、事業者公募も先送りすることは、新聞報道によって唐突に表面化した。しかし、担当課は「検討中」として、報道についての不満をにじませる。市幹部と担当課の温度差は歴然だ。事業内容変更について、下が言うことを聞かないからと、市幹部が地元メディアを使って既成事実化したとの見方まで出ている。いわゆる「リーク」である。そこまでしてPFI事業内容の変更をしなければならない理由とは何だったのか?
PFI事業の内容を変更しなければ公募に応じる企業が現れない、という状況にあるとすれば、事実上こども病院人工島移転は破たんしているということになる。
なぜ事業内容の変更が決定されたのかについては、吉田市長に説明責任があることは明らか。しかし、市長は2日の定例会見を行なわないという。またしても逃げたということだ。
吉田市長は就任以来、責められそうな局面になると「出張」に頼ってきた。例えば、昨年7月に開催された、こども病院人工島移転に関する説明会の時である。患者家族向けの説明会には欠席、続いて行なわれた市民向け説明会の日は「東京出張」で不在。吉田市長は都合が悪くなると「出張」で逃げることが常套手段となっているのだ。
市秘書課によれば、今回の東京出張は全国市長会への出席のためだとしているが、出張を決めたのは先月29日だという。もちろん、PFI事業の見直しが報じられた後である。
こども病院人工島移転のスケジュールが変わる可能性も指摘される今回のPFI事業内容変更。市トップがきちんと説明しなければ市民の不安は増すばかりである。にもかかわらず、市民の安心・安全より「東京出張」の方が大事だと言う神経は、まったく理解できない。不信任に値すると思うのは筆者だけだろうか・・・。
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