福岡県は、総額673億円の2009年度補正予算を6月5日から始まる定例県議会に提出する。県によると、現下の厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、国の補正予算を活用して強力な雇用創出と地域経済活性化を進めるとしている。この補正予算により今年度の予算総額は特別会計を含め2兆619億円超となる。
補正予算案は、3年間の事業を行なう基金積立金を除き総額356億円余りで、過去2番目の規模となる。財源は国庫支出金(地域活性化・公共投資臨時交付金など)が充てられるが、76億円超の県債も発行される。
補正予算案の柱である「雇用創出・地域経済活性化緊急対策事業」の主な内容は、「景気を浮揚させる公共事業」費が278億円余りと総事業費の79・8%を占める。この中には、省エネ効果の高い信号機のLED化や学校・橋りょう・道路などの耐震・防災対策、バイパス道路の整備などが含まれる。また「緊急雇用創出」として17億円超が計上され、新規事業として「中高年就職支援のための出前相談費」や介護職員の技能向上支援費などが挙げられている。さらに「安心なくらしづくり」として、地域自殺対策緊急強化事業費、介護職員処遇改善等事業。「子育て支援」として、不妊治療費の助成額を1回当たり10万円から15万円に引き上げる(6000万円)ことなどを盛り込んでいる。
09年度補正予算案は、圧倒的に公共事業費が中心となっている。道路事業、河川事業等に振り分けられ、いうところの「公共事業を通しての景気回復・雇用創出」路線であろう。
これらの措置で一時的な需要は期待されるかもしれないが、雇用にしても持続的な上昇が期待できるのかどうかは疑問だ。「バラマキ」を脱する予算付けが求められている。
5日からの県議会で、活発な議論を期待したいところだ。
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