八女市に対する情報公開請求で入手した「八女市町村会館」の工事に関する文書によって、大型公共事業をめぐる疑惑はますます拡大している。
「リファイン」による建設を目指していた同市が、市長交代を機に「新築」へと舵を切っていく過程では、市役所、建設業者、そして設計業者にまで不可解な動きが確認された。
行政が業者に対し何らかの仕事を委託する場合、必ず決済文書が必要となる。事案によっては市長の決済印が必要となるのは言うまでもない。もちろん契約書も必要だろう。昨日まで山下設計・九州支社によって、市町村会館建設工事の新築案が形作られていく過程を報じてきた。
しかし、本来の業務である「リファイン」による設計を完結し、成果物(設計図書)に対する支払いも受けた山下設計に対し、八女市が新たな業務を委託した文書は存在しない。つまり昨日までの山下設計による「新築案」に関する文書は、正式に八女市が業務を委託したものではないということになる。
耐震判定でもたつきをみせた山下設計は、昨年10月の段階で八女市に対して、お詫びとも取れる文書を提出していた(参照1)。
確かにその後、耐震判定はクリアするのだが、入札が不調におわったことで、山下設計への信頼は失墜する。その証拠に八女市は3月25日、弁護士に対し山下設計への支出が適切だったかどうか、法的な見解を求めている(参照2)。
こうした動きのなか、山下設計は「新築」へ向けた作業を進めていたことになるが、前述したとおり、八女市側から同社に対しての「新築案」検討、もしくは業務の正式な委託はなかったのである。行政のあり方としては考えられない杜撰さである。八女市は誰の指示で動いているのだろう・・・。
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