1989年6月4日、中国・北京の天安門広場で民主化を求めるデモ隊と人民解放軍との衝突から20年が経過した。この間、中国は開放政策に沿って経済の自由化、発展を遂げ、現在では世界経済に多大な影響を及ぼすマーケットとなっている。しかし、自由化した経済とは裏腹に、政治的には未だに共産党の一党独裁が続いている。
福岡市内の広告代理店に勤務するA氏(34)は、当時、北京の太平洋中学に通い、デモにも参加した経験のある持ち主。「あの時は、北京すべての学校が休校になっていて、横断幕などを作ってデモに参加しました。5月の中旬だったと思います。でも、参加したというよりは、みんなといっしょにトラックに乗せられ、連れて行かれたという感じでした。ちょっとしたイベント感覚でしたね」と当時、報道されていた緊迫感はなかったようだ。しかし、「事態が緊迫した6月4日あたりは、天安門には近づきませんでした。それから数年経って日本に留学して、こうやって働いています。祖国が発展しているのを外から見れるのはうれしいですが、やはり政治体制には多くの問題がある。特に政府を批判できない、言論の自由がないことは重大です」(A氏)。
中国国内では、天安門事件に関するインターネットや雑誌・新聞などの情報を入手できないような『情報統制』が行なわれており、内外からの批判が強まっているのは事実だ。
昨年はオリンピック、来年は上海万博の開催と、国際的なイベントが続いているが、政治・行政はまだまだ『国際的』には至っていないと言わざるを得ない。天安門事件から20年の節目を迎え、政治的変化は見られるだろうか。
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