医療・福祉分野の実用ロボット開発とビジネススキームも構築
そのビジネスモデルの第1弾は6月中に発表の見込み
「ベーダ国際ロボット開発センター」を設立し、医療・福祉分野のロボット実用化を進める㈱テムザックの高本社長。今回は、そのビジネス展開の構想について聞いた。
――実用ロボットの開発にはまだ多くの資金が必要だと思いますが、ベーダ国際ロボット開発センターは、実際にどのように資金を集め、どのようにビジネスを進めていくのですか。
高本 ご質問のとおり、ベーダセンターもただ一流の研究者を集めるだけでは、ロボット開発を具体化することができないと思います。大事なのは「社団法人ベーダ国際ロボット開発センター」として、資金集めを含めた具体的なビジネススキームを作り上げることだと思っています。
すでに九州の財界の方々や中央の大手企業ともベーダセンターのスキームはご相談しています。まず、社団法人としてロボット開発を受託し、開発資金を投入していただく。そして、研究メンバーとテムザックとで実際の開発やプロトタイプの制作を行なう。そのうえで、委託企業さんにより「商品化・販売」という流れを基本の仕組みにしようと考えています。
さらに、国や地方の研究開発予算も、当然獲得していかなければなりません。ベーダセンターは、国が主導して設立された機関ではありませんが、すでに筑波と並ぶ研究組織として各官庁からも注目されています。
最近の経済事情で各企業とも財務状況が厳しく、すぐに多くの開発委託があるとは期待できないでしょうが、医療・福祉の現場からのニーズが高いロボット開発にはどの企業も関心が高く、現在具体的な開発テーマを絞って企業さんと打ち合わせを進めているところです。
産業用ロボットを除いて、これまでは知能型・サービスロボット市場はまだ未成熟な段階です。他の国を含めて、モデルとなる前例が全くない状況だったために、各企業とも正直なところ、投資への積極性が欠けていたといえるでしょう。しかし、まだ見えていないロボット市場としてではなく、医療・介護・生活支援分野の新製品ととらえていただくと、販売計画や価格設定も具体的に検討が可能になると思うのです。
しかも、九州大学医学部や関連医療機関でのニーズ調査や臨床実験を踏まえた研究開発が基本となりますので、実際に利用される患者さんや障がいのある方、高齢者の皆さんにとって本当に役立つ製品として、実用的なロボットが生み出されるわけです。
まず私としては、現在九州大学の橋爪先生と開発を進めている医療・介護向けのロボットの開発で、ベーダセンターのビジネスモデルを作り上げようと考えています。6月にはその第1弾を発表できるのではないかと思っておりますので、ぜひご期待ください。
(つづく)
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