<気概がない、お上に負かされる>
宏さん!!前回触れましたが、「お上の仕事を二度とするものか」と決断した業者はたいしたものです。激変時代には、こういう気概がないと企業防衛は不可能ではないでしょうか。この会社には、お上にペコペコする必然がありません。「大木町町議会議長の逮捕に連座されたことを冤罪として戦い抜いたら」と助言しましたよねー。宏さんは口をモゴモゴし、いつもの持ち味が精彩を欠いていました。
昨年8月に「官公庁不況に物申すシンポジウム」を弊社主催で開催したことは御承知の通りです。宏さんが会長されていた福岡建設協力会にも圧倒的な協力をいただきました。感謝しています。ただ、建築基準法の改正で建築不況を招きました。責任は役人が問われるべきです。だから、本来は建設協力会が主役を果たすべきでした。宏さんが会長として旗振りをすべきだったのです。弊社なんかの役割は『広報』という後方支援で充分なのに、主催役を担ってしまったとは皮肉なことでした。
シンポジウムを組織する過程で、幾度となく「業界自身がお上に頭が上がらない」体質を目撃しました。私は「お上に懐柔されているようでは『100年に一度の激変時代』に対応できない」と建設業界に見切りをつけたのです。私も中小企業の経営者ですから、身に降りかかる火の粉は必死になって自力で消し止めます。当然のことです。ところが、建設業の方々は他人事です。この非常時に「お上が助けてくれる」とでも勘違いされているのでしょうか。これでは業界自身がすべて沈没します。神から「『100年に一度の激変時代』に建設請負業はいらない」と通告されていることを認識すべきです。
<仲間も大胆にチェンジする>
完工高100億円を起点にして、大胆な転換をすべきでした。94年の歴史があるということは、過去において幾多の脱皮をしたから組織寿命を延ばしてきた証明ではなかったのですか。高松組の94年という伝統ある組織寿命を100年先へ伸ばしていく戦略眼が望まれていました。であれば、2007年3月期100億円の完工高を境に、『請負業を超える』チェンジの挑戦が問われていたのです。宏さん!!熟慮してください。御社よりも資産がなく、不安定な業態のマンション業者の請負に甘んじることに疑念を抱きませんでしたか。
建設協力会の仲間に小串建設がありますね。この会社はマンション業者の仕事を受けてきました。受注してきた経験から「請負のリスクよりも販売のリスクを背負ったほうが時代にマッチしている」という戦略設定の英断を下したことは承知されていますね。外部からのマンション受注は中止しました(一般建築の受注は行なう)。事業の主力をマンション販売・デベロッパーに置き換えたのです。ですから、由緒ある小串建設の屋号をなくして、㈱アルシスホームという屋号で新たなスタートを踏み出しました。この会社は確実に生き残ります。時代の激動に柔軟に対応してこそ、人力で企業寿命を永遠に延ばせます(人間の寿命は有限ですが)。100億円を記念にして、過去とおさらばできなかったことは残念でした。この項の冒頭に指摘した通り、『暴走』ともいえる勝負が必要な時もあるのです。
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