金融機関の不良債権処理のため、金融機関を監督する組織として平成10年に設置された金融監督庁の業務は金融庁に引き継がれている。
金融庁は大きく分けて、金融行政における(1)消費者(債務者・預金者・投資家)の保護と(2)金融機関の検査・監督・指導に分けられる。
昨年の金融危機以降、企業の資金繰り悪化を受けて、金融機関には自己責任で融資をするように指導をしながら、金融機関に対しては不良債権が増えないように指導監督する立場にある。金融機関も貸せと言われても、不良債権が増えれば、経営責任を問われるジレンマにある。つまりブレーキとアクセルをどう踏むか金融庁の匙加減によるところが大きい。
消費者保護(金融機関の貸し剥がしや貸し渋り・損保・生保の保険金未払い・証券会社の顧客トラブル等の消費者側に立った実態調査)に軸足を移すのか、それとも金融システム安定のために金融機関保護へ軸足を移すのかどうか。
衆議院選挙の行方、今秋発足する消費者庁の動向などを睨み、独自性をもって金融行政を適切に運営できるのか、その真価が問われることになる。
【北山 譲】
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