日本郵政の社長人事をめぐる騒ぎは、自民党にとって大きなマイナスになった。鳩山総務相は西川善文社長の更迭を求める姿勢を崩そうとしない一方、小泉改革の信奉者らは西川氏を郵政民営化の象徴として徹底擁護。双方の対立は、抜き差しならない状況となっている。
公金を投入した「かんぽの宿」を、1万円で叩き売るという非常識な問題については、未だ国民には納得できる説明がなされていない。オリックスと日本郵政の関係も未解明のままだ。これだけの問題を起こした企業のトップ交代は、民間であれば当たり前である。西川更迭を求める鳩山総務相は、政治家としては至極まともだ。
公明党からも西川社長の辞任を求める声があがり、いよいよ麻生首相も事態収拾に動き出したが、遅きに失したというほかない。
自民党内からも、「鳩山さん(総務相)には、がんばれと言いたい。あんな問題(かんぽの宿問題)起こしたんだから、(西川社長は)自分から身を引くのが当然なんだ。民営化されたといっても日本郵政は公的な会社。国民から疑いを持たれた時点でアウトだよ。改革派と称する連中は、まだ小泉さん(元首相)にしがみついている。西川がなんで郵政民営化の象徴なんだ」と手厳しい。さらに「麻生さんがさっと西川をクビにして『ハイ、この問題は終わり』とやっとけばよかったんだ。本当にだらしない。何やっても問題がこじれてからしか判断を下そうとしない。自民党の首を絞めてるのは麻生さんだよ」との声もあがっている。
日本郵政の株主総会が開かれる29日までに判断を下せないようなら、国民の麻生首相に対する不信感は頂点に達しそうだ。
【秋月】
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