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特別取材

【トップインタビュー】(株)井筒屋 代表取締役 中村眞人氏(1)
特別取材
2009年6月10日 08:00

正念場に立つ老舗百貨店
北九州経済活性化のために

(株)井筒屋 代表取締役 中村 眞人 氏

北九州を代表する百貨店・井筒屋。長い業歴と実績で地場経済を支えてきたが、前期連結決算は赤字に転落し、正念場に立たされた。現在の経営状況と打開策、そして北九州の経済活性化に対する考えを、同社代表取締役の中村眞人氏に聞いた。(聞き手:弊社代表 児玉 直)

所在地:北九州市小倉北区船場町1-1
設 立:1935年7月
資本金:105億3,216万8,000円
年 商:(09/2連結)1,090億614万円

苦境の百貨店業界

 ―前期決算は厳しいものとなりました。ここからが正念場ですね。

 中村 少なくとも黒字にしなければなりません。この10年間で博多、久留米などを閉店して集約化してきました。小倉本社を旗艦に利益を出し、地方で小売りが低迷している場所に進出していくというのが私なりの戦略です。
 
 ―しかし、新規出店は難しいと思います。
 
 中村 たしかに今の時代、投資分の利益は返ってこないですからね。これから新しい建物をつくるところは厳しいでしょう。当社の場合、前期に山口ちまきやのほか、小倉伊勢丹をコレットとして配下に置きました。投資を伴いましたが、今年、来年と借入分の収穫をしなければなりません。  
 ただ、景気低迷で前期連結決算は赤字となり、今期も低空飛行が続いています。当面は、現在の4店舗の収益基盤をどう確立させるかが課題です。
 
 ―百貨店は全国的にパイが縮小傾向にあります。
 
 中村 とくに、夏・冬のボーナス商戦は厳しくなるでしょう。多くの企業でボーナスが減額ないしカットされるでしょうから。個人消費は所得に連動しますし、所得が減じるのは明らかですので、もう一度リバウンドがあるのかどうか、うまく見極めないといけません。会社を存続させること自体が大きなテーマですから、まだ攻める段階ではないですね。  

 ―岩田屋ですら赤字で厳しい現状があります。
 
 中村 当社も74年の歴史のなかで、これだけ前年対比でずっと落ち込むことはなかったですね。全国の百貨店で、売れるものも売れないものも共通しています。ある意味、珍しいことです。  
 先日、日本百貨店協会の会議がありましたが、やはり皆さん顔色が良くなかったです。トップの伊勢丹ですら、何とか黒字を維持するので精いっぱいですからね。

【文・構成:大根田康介】


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