<請負業は時代の遺物か?>
スタートから結論的に厳しい指摘を述べさせていただきます。宏さん!!市場は請負業の存在を認めていないということです。たしかに、社会のインフラを築いていく貴重な産業であることは周知し認識しています。しかし、利益を捻出できない厳然たる事実が立ち塞がっているではありませんか。スーパーゼネコンでも収益改善に四苦八苦しています。利益が出なければ会社の存続もできないし、社員たちにまともに給料を支給できません。
言い方を変えれば、『100年に一度の激変時代』は建築に付帯した技術力には正当な対価をつけない非情さを有しています。昨夜の話です。九州建専連(建設産業専門団体九州地区連合会)の役員の方々とお会いしました。「現場の職工の責任者たちですら飯が食えない。これでは職人のなり手がなくなり、業界が崩壊する。現場責任者たちが、せめて年収600万円確保できるための保証スキームを国土交通省にお願いしている」と深刻な様相を呈していたのです。この現実を触れるマスコミはありません。我が社は今後、九州建専連の方々の闘いを連載キャンペーンとして広報活動を担う決意をしています。
宏さん!!つい数ヵ月前の地獄の苦しみを思い浮かべてください。入札指名において、粗利が10%を下回る見積もり提出を認めていましたね。世間(仲間内)は「よくまー、高松さんはあんな採算割れの受注でやっていけるな。潰れるかもしれない」と囁いていました。「いらぬ詮索はよしてくれ。言われなくても俺が一番、本質を知っている」と叫びたかったと思います。裏を返すと、宏さんは「このダンピング受注を繰り返せば、あと1年しか持たないな」と危機感に苛まれていたことでしょう。
この実体験から確信を持てるのではないですか。「請負業というものは、ビジネスとして成立できない」というのが体験的結論でしょう。じゃー、生存できればメリットを享受できるかといえば、そんな簡単なものではありません。高松組が抹殺されたからといっても、必ず次に新たな安値受注に走る業者の出現があります。安値受注業者を排除する取り決めを決定しないと阻止できません(市場でそんな規制処置ができるのは至難の業だ)。
<創る意識しかない>
宏さん!!聡明な貴方のことです。本質を理解されています。「建設業の思考・発想を根本的にチェンジしないと壊滅する」ということを悟られました。『請負』という語源的意味は「言われるままに」ということです。施主の言われるままでは日干しされるしか道はありません。度々、実例を引き合いに出しますが、冤罪であっても大木町町議会議長の逮捕の連座の件です。やはり、福岡建設協力会会長の要職を辞任すべきでした。貴方の責任というよりも、業界の庇い合い体質に問題があります。
九州建専連の幹部の方々にもキャンペーン姿勢には是正の余地があります。『お上にお願い』という江戸時代の農民嘆願運動では解決できません。これらの庇い合い・嘆願という行為や姿勢の根源は、『請負』意識に侵されてきた歴史に由来しています。要するに、「言われるままに、生されるままに」という平易な言葉で表現されるのです。次回からさまざまな実例をレポートしますが、虐げられていた(強いられた)意識を克服して、『お客を創る、市場を創る』という思想で武装されなければ『請負業』の復権はない、という認識に至っています。誤解をしないでください。『請負業の蘇生』の道はあるのですぞ!!
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