新型インフルエンザの感染者が増え続ける福岡市。原因は行政の不作為だった。医療機関からの遺伝子検査の要請を、事実上拒否していた保健所の対応が今回の感染拡大の原因である。真相が明らかになるにつれ福岡市の迷走に拍車がかかる。遺伝子検査の対象について、昨日の午前中には職場や学校で2人以上の感染が疑われる場合だけとしていたものを、夜になって一転、全てのケースで行なうと言い出した。県の保健衛生研究所に協力を求めるというが、これも話はこれからだという。場当たり的な対応で、批判をかわそうと必死である。
福岡市は10日、発熱相談センターにおける対応について、各保健所に厚労省の対応指針をメールで送っただけで、独自のマニュアルなどを作成していなかったことを認めた。遺伝子検査の対応も、人手不足(2人の係長と1人の課長で対応)でまかないきれない現状だという。会見で吉田市長が言った「万全の態勢」など、どこにも存在していなかったということだ。何回も対策会議を開いていたというが、ただのポーズだったということがはっきりしてきた。
相談センターに電話をかけてきた市民に、海外渡航歴と関西滞在の有無を確認し、該当する項目がなければ、「一般の病院へ行け」と命じ続けていたのである。発熱相談センターの設置は、アリバイ作りのためだったのだろうか?
先月、県や北九州の発熱相談センターが24時間対応であるのに、福岡市だけが夜9時までであることに厳しく抗議し、記事にした。議会関係者等からも指摘があり、ようやく24時間対応に変更したが、この時も市のやる気のなさにあきれたものだ。最初からまじめに取り組む姿勢などなかったのだろう。
医師からの遺伝子検査を拒否したということは、明らかな不作為であり、公務員の犯罪行為である。新型インフルエンザに感染しながら、見落とされたケースはけた外れなのかもしれない。
ここまで事実関係が明らかになっているにもかかわらず、市長や市幹部は謝罪しようとしない。会見を開いて感染者の数を発表しているが、市側の不作為についての文書は一切出されていない。全て口頭での説明である。これで「安心・安全の街づくり」などと、よく言えたものだ。こども病院人工島移転についても同じだが、過ちを認めて謝ることを、頑なに拒絶する姿は滑稽でしかない。
もちろん、全ての責任は市のトップである吉田市長にある。「万全の態勢」だの「安心して」と言っておきながら、何の指示もできず、市民を危険にさらしたのだ。しかも、問題発覚後は職員任せで、何のメッセージも出そうとしない。迅速に対応してきた麻生知事や北橋北九州市長とは比べようもない。こども病院を人工島に移転させるという市長だけに、人の命などなんとも思っていないらしい。不幸なのは市民である。
吉田さん、やる気がないのなら即刻辞任してはいかがですか?あなたのためでもあり、なにより市民のためだと思いますが・・・。
【市政取材班】
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