11日夕、福岡市保健福祉局の理事らが同席し、市医師会が会見を開いた。発表されたのは、遺伝子検査の対象を、簡易検査でA型陽性の反応が出た全てのケースに拡大するため、市医師会が協力するというもの。
市側は、既にA型陽性は全て検査すると公表していたため、記者団からは何のための会見かいぶかしがる声も聞かれた。会見は、不協和音が指摘された民間医療機関と市の関係を取り繕うためのものとしか言いようがない。
今ごろになって遺伝子検査の態勢を会見で発表するということは、これまでいかにお粗末な状態だったかを証明するものである。1日最大20件しか検査できなかったが、これからは約60件に増やせるとしているが、それもやってみないと分からない状態なのだという。
感染が市外に拡大すれば、市が協力をしてもらうとしている県側も遺伝子検査に追われることになる。結局、福岡市の危機管理はこの程度のものであり、吉田宏市長が胸を張った「万全の態勢」は嘘っぱちだったことになる。医師会が感染拡大に市と協同するのは大変けっこうなことだが、市の対面を保つことにまで手を貸す必要はあるまい。
医療機関の要請を無視して遺伝子検査を拒否し、感染を拡大させたことへの反省や謝罪は行なわれていない。医師会幹部も、現場の医師らの怒りの声をはっきりと公表すべきである。
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら