福岡市の119園の幼稚園は行政から忘れ去られた存在になっていた。11日、福岡市の子ども未来局の担当課が、福岡市内の幼稚園についてインフルエンザ感染情報の提供を怠ったうえ、健康状態の実態さえ把握していなかった問題で、とんでもない事実が明らかとなった。幼稚園を所管する福岡県の担当部局も市同様、幼稚園任せで何もしていない状況だったのである。幼稚園を所管する県私学振興課によれば、福岡市内の幼稚園についての健康実態調査などは特に何もしていない。「感染者が出れば、保健所に届けるように指示している」程度のことだという。自ら幼稚園についての状況確認など行っていないのだ。
幼稚園の現場では、各園ごとにきめ細かく今回の事態に対応しているとされるが、行政側は何の手助けもしてないことになる。なにより、幼稚園の子どもたちのことや先生たちへのサポートは忘れ去られていたことになる。
縦割り行政のエアポケットに落ちた状態で、幼稚園に通う子どもや親たちは、福岡市からも県からも放置された存在となっていたわけである。
幼稚園に子どもを通わせるお母さんたちからは、「市や県から園に対しての情報がないのはなぜかと思っていた。対応に苦慮する幼稚園の先生たちの苦労が分かっていない」「福岡市のこれまでの(新型インフルエンザへの)対応は二転三転。幼稚園は県の所管だから関係ないというのでしょうか。県も無責任ですが、どうして縄張り争い的な発想でしか仕事ができないのでしょう。情報交換くらいまじめにやってと言いたい」
行政の不作為で置き去りにされる子どもたちの命。一体福岡市や県は、どうやって「安心・安全の街」を実現しようというのだろう。
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