東区東浜のマンションを舞台に、ゼネコンと基礎施工業者との間で訴訟が行われている。請求内容は形の上では施工不良と工事遅延に伴う損害賠償請求。しかし、そこでは建造物の安全性に対して誰が責任を持つべきかという命題が問われている。
1 訴訟のあらまし
東区東浜のとあるマンション。竣工済みの大型賃貸マンションで、国道3号線の賑わいを見下ろす海沿いの物件だ。このマンションでの基礎工事の一部、すなわち杭打ちの施工状態を巡って、三井住友建設と大洋基礎(いずれも本社:東京)との間で損害賠償請求訴訟および工事代金支払請求訴訟が行われている。
そもそもの発端は、2007年3月29日。三井住友建設から大洋基礎に対し、当該マンションの基礎工事が発注された。工期は4月5日から5月20日の45日間、請負代金3,097万5,000円という契約内容だ。大洋基礎は工期内にコンクリートの杭を打ち、4月28日までには完了したはずであった。しかし、同日の検査で、杭の一部にコンクリートの充填不良が見つかり、その後の検査では全24本のうち実に22本に同様の瑕疵あることが判明した。ゼネコン側は補修工事を施し、マンションの構造上の安全性を速やかに確保。だが、大洋基礎の施工不良により119日間のロスが生じたとして、三井住友建設は2億3210万円の損害賠償請求を起こすこととなった。
これに対して、大洋基礎は、逆に請負代金の未払分の請求を訴え出た。自ら施工に落ち度はなく、むしろ三井住友建設の側に落ち度があると主張したのだ。
(つづく)
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