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特別取材

【トップインタビュー】(株)井筒屋 代表取締役 中村眞人氏(3)
特別取材
2009年6月12日 09:11

正念場に立つ老舗百貨店
北九州経済活性化のために

(株)井筒屋 代表取締役 中村 眞人 氏

中心街活性化のために

 ―銀行や証券会社の支店がすべて撤退しましたからね。

 中村 福岡と北九州の両方は必要ないという理由で、福岡支店に機能を統合し、北九州は営業所となったためにキャリア人口が減ったのでしょう。小売業の都市間競争もさることながら、オフィス需要の都市間競争の影響が一番大きいでしょうね。
 北九州の中心街活性化において、街なか居住などの案がありますが、一番重要なのはオフィス需要、つまり働き場を創出することです。いくら工場を誘致したところで、百貨店の売り上げは変わりません。小倉の街なかでも貸しビルが増えましたが、テナントがなかなか入りませんよね。

 ―福岡もオフィスや商業施設の空室が目立っています。コレットのテナント誘致の現状はどうですか。

 中村 既存の百貨店とは業態を変え、テナントビル管理形式に大きく舵をとっています。無印良品やロフト、ZARAなどに入っていただきましたが、できるだけ地代をテナント側が負担して人件費を極小化すれば、店舗単体として利益がでます。
 ただ、どこも不況で出店意欲をなくしていますから、現状のかたちで少しずつテナントを増やしていき、今年の秋までに全館仕上げる予定です。

 ―最後に、北九州の街が活性化するためには、どうすればいいとお考えですか。

 中村 とくに中心街活性化の問題は、井筒屋の経営戦略とイコールの話です。街の魅力をどのようにつけるか。福岡は中核拠点都市ですから競争しても仕方ありません。そことは違う街づくりをしていく必要があります。
 北九州は環境拠点都市として、CO2削減や屋上緑化など、全国に先駆けた環境モデル都市をつくっていく。それが他の都市との差別化になりますし、お客さまがそれを体験しに北九州を訪れるでしょう。
 街なかの公園面積が少ないですから、もっと緑を増やしていく必要もあります。さらに、都心の容積率緩和をダイナミックにして高層化を図り、空いた土地に緑地をつくって、病院や学校などの機関を集約した方がいいでしょう。
 これまでは北九州経済が製造業に頼りすぎていたため、去年までは全国でもトップクラスの経済環境でしたが、今は違います。今後は製造業との両輪で、エコライフな街づくりが必要でしょう。コンパクトシティーをもっと徹底しなければいけません。

(了)

【文・構成:大根田康介】


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