2 生コンの品質が争点に
現在2つの請求は併合審理され、未だ弁論準備の段階にあるが、もっぱらそこでは「杭に用いられた」生コンの品質についての争いが続く。
三井住友建設が指定した生コン業者は訴外であるため、ここではS社としておく。当然ながら、S社はJIS規格を満たしており、生コンの品質全般に問題があるわけではない。しかし、杭に見られた「角欠け」や「肩落ち」、更には鉄筋の籠から中途半端に漏れ出して「とうもろこし状」に固まるといった諸々の瑕疵が、生コンの流動性が低い場合に生じる現象であることは、一般論として否定し難いのも事実だ。大洋基礎側は、S社の生コン工場が遠隔地にあるにもかかわらず、敢えてこれを使用させられたがために、流動性の低下とその後の瑕疵を招いたとの論法を打ち出している。
これに対して三井住友建設側は、S社がJIS規格を取得している事実や、試験練りでは適正な結果が出たことを持ち出して反論。大洋基礎側の工程管理や施工技術の拙さが、生コン打設までの時間を徒に遅らせ、その結果、流動性の低下を招いたのだと指摘した。
訴訟はまだ序盤であるため、今後はその他の争点に移っていくであろう。しかし、原因については争いあるものの、「杭に用いられた」生コンの流動性の低下と瑕疵との関連性については、原告・被告ともに争う姿勢を見せていない。両当事者の優勝劣敗はさて置くとしても、今回の争いの根幹がその点にあったことだけは否定し難い状況となっている。
なお、訴外S社は、「品質については万全を期している」とコメント。発注されればJISの要件を満たす限りで納入せざるを得ない立場でもあり、同業者からは「巻き込まれた」と気の毒がる声も聞かれる。逆に、S社が生コン組合の正会員ではない業者、いわゆる「アウトサイダー」であったことが、業界においての話題性を高めている側面もある。安値受注で熾烈な競争を続けるゼネコンが、コストダウンのために低価格の生コン(正組合員以外の業者には価格統制は及ばない)の調達に走り、その結果招いたトラブルだったと皮肉る声も聞こえてくる。
(つづく)
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