福岡市が進めるこども病院人工島移転で、もっとも懸念されるのが交通アクセスの問題である。吉田宏市長は、問題の解決策として都市高速道路の延伸を公言してきた。昨日、新病院開設と都市高延伸工事完了の時期にタイムラグが生じることを指摘したが、市が国土交通省に提出した都市高延伸のための要請文書から、重大な疑問が浮上した。
昨年7月、市は国交省に対し「アイランドシティへの自動車専用道路の導入に係る要望について」と題する要望書を提出している。データマックス取材班が情報公開請求で入手した同文書には、次のように記されている。「平成20年秋の新たなコンテナターミナルの供用開始や、民間物流施設の誘致、新青果市場の立地など、港湾機能・物流機能の強化に積極的に取り組んでいるところであります。またまちづくりエリアにおきましては、良質な住宅の供給をはじめ、まちの中心として交流やにぎわいの拠点となる『センター地区』の開発など、多様な都市機能と良質な住環境が共存した魅力あるまちづくりを進めているところであります」としたうえで「アイランドシティをはじめ、海の中道等を含む東部地域全体の交通需要に対応した広域的な幹線道路ネットワークの強化を図るため、アイランドシティへの自動車専用道路の導入について格段のご配慮をお願いします」。
つまり、コンテナ輸送、青果市場、商業施設、住宅などが建設され、交通量が増加するから人工島内への都市高速延伸をお願いする、としているのである。こども病院のためなどとは一言も書かれていない。
これまでデータマックスは、人工島内にこども病院を移転させた場合の問題点として、新青果市場にあつまる車両、商業施設に集まる車両、コンテナトラックなどで混雑することがあきらかであり、救急搬送時に重大な問題が生じることを指摘してきた。現在でも夏場は、海の中道方面に行く車のために人工島内が渋滞している。市街地側からの人工島への進入をたった2本の橋に頼る以上、これ以上通行車両が増えれば大渋滞は必至である。
それらの車両が延伸された都市高速を利用した場合、どうなるかは容易に想像がつく。
物流のために都市高速を延伸するというのなら、その降り口が渋滞することは言うまでもあるまい。救急搬送に重大な支障を来たすことになるが・・・。
(つづく)
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