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公取排除命令の是非を考える ~セブンイレブン編〔5〕
流通
2009年6月16日 10:34

安売りは業界を弱体化させる

 昨年秋からの経済危機により昨今、あらゆる業態で「安売り」「激安」競争が繰り広げられている。特に生活に密着した食品スーパーでは、値引き競争が後を絶たず、1円でも安く売るセールが常態化してきている。不毛な安売り競争は、出口の見えない消耗戦を生み、最後は企業間の体力勝負になる。それは各社の収益を悪化させ、誰もが望まない結果を生じさせないとも限らない。
 コンビニの場合も、値引きをすればお客が商品を買ってくれるから、利益が出ると思うオーナーは少なくないだろう。しかし、安売りはスーパーのように大量販売できないコンビニにとって、確実に収益を悪化させてしまう。米国では小売業全体との競争に巻き込まれ、
コンビニが酒類や飲料、菓子の人気ブランドまで安売りした。その結果、粗利益の確保ができなくなり、サウスランド(セブンイレブン)、サークルKなどが相次いで裁判所に会社更生法の適用を申請した。
 コンビニは売場面積が30坪程度で、商品は約3,000品目程度。そのフォーマットでは、スーパーのような集客力はないし、まして価格競争に耐えうる体力があるはずがない。米国の例をあげるまでもなく、値引きは本部と加盟店の双方を弱体化させ、もはやFCシステムそのものも成り立たなくなってしまうのである。

コンビニのロイヤルティーを見直す

 では、どうすればいいのか。今回の問題が発生した時、多くの識者が「ほとんどの消費者はコンビニに利便性に求めている」との見解を示した。だから、いかにも「安売り」は求められていないかのロジックを展開した。
でも、本当にそうだろうか。
 景気が良い時ならともかく、今は百年に一度と言われる経済危機の最中だ。
消費者はコンビニに「利便性」はもちろん、さらに「安さ」まで求めてきていると考える方が自然ではないだろうか。消費者とは得てしてわがままな存在だからである。
 消費者が求めるのは「利便性」との主張はあまりに一方的で、コンビニ側の理屈と受け取られても仕方ない。筆者もずっとコンビニに「安売りはなじまない」との論調を繰り返してきたが、
業界の一方的な理屈を、あたかも消費者のニーズように論じた覚えはない。 

 むしろ、利便性や安さといった消費者、業界の対立軸をどうこう言うより、客観的に崩れかけたコンビニの立ち位置や権威を見直す方が大切だと思う。そのためには、本部と加盟店が新たなルール作りに取り組むこと。いわゆる変革が必要なのである。

 今回の問題の背景には、30年前とは比べ物にならない加盟店の経営の厳しさがある。本部は店舗を増やせば売上げは伸びるが、加盟店はその逆だ。だから、本部と加盟店が互いに痛みを分かち合うような仕組みづくりを急がなければならない。

【剱 英雄】


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