新型インフルエンザをめぐり方針が二転三転している福岡市は、自己矛盾に気付いていないようだ。
市は現在、新型インフルエンザの感染情報について、毎日午後3時に会見を開き公表している。18日、午後3時の会見が終わって、急遽午後5時に再度の会見を開くと言い出した。
会見内容は、市内南区在住の女性会社員が感染したというものだったが、その勤務先について地元金融機関としたのみで企業名を明かさない。
午後6時から「福岡銀行」が会見を開いたため、地元金融機関が福岡銀行博多支店であることが判明したのだが、市はなぜ企業名を明かさなかったのだろう。
これまで福岡市は、新型インフルエンザ発生の初動で遺伝子検査を怠ったことを、県が感染第1号の外国人男性についての情報を出さなかったためとしてきた。しかし18日は、会見まで開いて感染情報を発表しながら、福岡銀行の名前を伏せたのはどうしたことだろう。銀行は多くの人が集まる場所である。支店内で複数(3人)の感染者が出ているのなら、利用者もそれなりの対応が迫られる。マスクや出入り後の手洗い、うがいなどの対策も、情報がある場合とない場合では違ってくるのではないだろうか。
昨日だけでなく、市は感染者が使用した飲食店などについてもその店名を明らかにしようとしない。風評被害を受けた場合を考慮してのことだろう。しかし、県には言いがかりを付けておいて、市民には教えないというのでは筋が通らない。昨日の福銀のケースは、会見時の午後5時の時点で福銀側が会見を開くことを知っていたのであるから、企業名を明かしても良かったはずである。
市は、福銀の会見が午後6時からと分かり、急遽5時に会見を開いたとの見方もある。迷走する福岡市の新型インフルエンザ対策を見ていると、司令塔がいないことに気付かされる。保健福祉局の情報は市長まであがっているのだろうか?そうした検証も必要になってきたが、地元医師会や市民にもさらなる協力を求めて、感染拡大への知恵をしぼるべきであろう。
市政取材班
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