酒のつまみや食卓に欠かせないチーズ。チーズの国内総生産量の約9割は北海道で生産されており、九州での製造量はほんの僅かである。とある業界関係者によれば、九州はさまざまな要素からチーズ作りには適していないという。「日本製のほとんどが北海道で作られています。北海道は湿気が少なく、冬はかなり寒いなどといった気候が、チーズ文化が発達している欧州諸国と似ている。だから乳業メーカーはこぞって北海道に生産拠点を作っていると思われます」と前述の業界関係者は語る。九州は北海道に比べれば湿度は高く、気温も高い。「九州で北海道並みのチーズを作ることは可能でしょうが、それを作るためにはそれなりの設備投資が必要となってくる。このご時勢では高額な投資は厳しいでしょう」(業界関係者)。
現在、九州の酪農家の多くが飼料代などの生産コストが、乳業会社などに販売する乳価よりも高くつくため、赤字を垂れ流し続けるという厳しい現実がある。しかも、牛乳は売れなくて困っている乳業会社も多い。ならば、余った牛乳をチーズに回せばいいじゃないか、という“素人考え”もあるが、そう簡単にはいかないようだ。
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