次の福岡市長をめぐって、さまざまな動きが出はじめている。
現職である吉田宏市長については総選挙終了後、推薦した民主党内部でマニフェストの検証が行なわれるという。
吉田宏市長 |
これらは全て吉田市長のマニフェストに盛り込まれていた「約束」である。しかし、どれも実現されていない。目玉となった公約の大半を平然と反故にしてきた以上、厳しい評価が下されるのは当然だろう。民主党が屁理屈をこねて市長を庇う姿勢を見せれば、市長選から数か月後の統一地方選挙で手痛いしっぺ返しを受けることになる。
人工島事業やこども病院について「見直しの結果、人工島事業推進、こども病院単独移転という結論になった。公約違反ではない」などと言おうものなら、民主党そのものが有権者からの信頼を失うだろう。吉田市長の選挙当時の発言や、当時の印刷物をチェックしてみると、人工島やこども病院といった市長の大型事業「見直し」は、あきらかに「中止もしくは方針転換」を意味するものだからである。
新空港をめぐっては最後まで意志表示をせず、民主党県議団との温度差を露呈。あげく、北九州空港の滑走路延伸話で麻生知事と衝突、共同記者会見の場から退場させられ失笑を買った。
しかし、市民への吉田市長最大の裏切りは、「政策決定過程を隠す」という姿勢であろう。
市職員だけで行なった人工島事業と市立病院統合移転についての「検証・検討」は、結論の根拠が全て「備忘録」「個人的なメモ」などとして隠されており、どのような議論を重ねたのか全く説明がつかない状態。西日本新聞の記者という市長の前身からは、想像もつかない隠蔽体質を市役所に招来した。情報公開の重要性を熱く語った市長選時の姿は、票欲しさのパフォーマンスに過ぎなかったということだ。
隠蔽体質は新型インフルエンザの対応という、市民の命にかかわる問題でもいかんなく発揮されており、保健所による遺伝子検査拒否の実態はいまだにうやむやのままである。
民主党のなかでは同党の市議団だけが徹底して市長を擁護しているが、どこまで有権者を敵に回すつもりなのかと厳しい批判もあがっている。吉田市長をどう検証するのか、民主党に突きつけられた課題は重い。
(つづく)
【市政取材班】
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