たとえば菓子業界では、約2年前に北海道の石屋製菓の「白い恋人」,その後の赤福の「まき直し」による製造年月日の偽装事件などが発生し、食品に関する安心安全への消費者の目は厳しくなっている。特に「生もの」の商品を扱う菓子業者は、賞味期限前に自主回収し、新しい商品に置き換えるなどのきめ細かい神経を使わないと売れないという。また自主回収した商品は全て廃棄処分しないと、いつ従業員から内部告発されるか分からないともいう。
一方、今回下関の特産品である「ふく」の加工品に対する業界には、そのような認識は薄く、過去の実績を基に賞味期限を定めていたものと思われる。「ふく刺し」や「鯨肉」にしても急速冷凍すれば問題ないし、健康被害も発生しないとの認識が水産業界にあったと思われる。下瀬食品、古川商店の倒産後、水産加工業者として下関を代表する企業に成長した日高食品の製造月日偽装事件は、リーマン・ショック以降消費者離れが続き低迷を続ける水産業界にとって大きな痛手となる。そのなかでも特に、高級魚の「とらふく」を取り扱う業界への影響は大きい。また「とらふく」に続く魚として売り出し中の「あんこう」への影響も見逃せない状況にある。そのため、業界が一丸となって、「下関ブランド」の水産加工品の賞味期限を確立することが求められる。また、この春、水産業界の支援を受けて当選した、中尾下関市長の手腕も試されることになる。
(了)
【北山 譲】
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